書道家「小川妙子」さん

http://www.nihonbijutsu-club.com/t.ogawa/?page=top 小川妙子ギャラリー

宝塚、花の道のセルカ2番館にある画廊「エデル」を訪ねた。

 1月の29日から2月9日まで、新春を飾って、海外での評価も高い作家達20人の作品が展示されている。力作揃いで、見応えがある。 その中に、ニューヨークのアートフェアーに、出品しておられる、小沢妙子さんの作品も展示されている。他の作家に比べて、随分安い値段がついている。

 聞けば、出来るだけ沢山の人達が、買いやすい値段にしているのだそうで、どこでも、会期中に完売するようにしている、家にストックを作らないのが信条だそう。その方が、新しい作品を書く力が沸くから、と。

 小川さんは、おだやかな感じのひとだけど、わが道を突っ走ってきたという方で、作品も、インパクトが強い。

 本来の書道的な書き方でもなく、絵画の世界からも距離を置く。書と可能性に挑む。詩の言葉、短歌に、文章に、平和をテーマにして表現される。寺山修司の詩を使った、暗い激しさをぶつけてくるものも。

 「熱き一刻」というご自分の作品集をいただいた。その中の言葉は、反骨精神と自分の命の源泉をたどる、深い探求が、墨の黒のハングル文字と日本の象形文字と、せんで描くひらがなとが、3つどもえになって、共存するような自体で、熱さほとばしる情熱が、体内の血の名流れとなって、書に身体全体をゆだねるように。

「踏まれたら、怒れ。踏まれたことを忘れよ。」

「夜を重ね山峡の道海の道命のありか尋ねゆくなり」

 戦う力を全面に押し出すような、文章が。

 

以前に、 石川九楊さんの、「源氏物語55帖」という、展覧会を、京都の文化博物館で、見た。ひらがなを、続け文字で、延々と長く、物語を綴っていく。ピカソのエロティシズムに通じる者があって、サインをしてもらった時に、1文字のなんと時間の費やされること、忍耐を要する作業に、感銘を受けた。

 

文字は、言葉を話し存在である、人間の存在の形、生き様を表現するものでもある。生きた字、訴える字、踊り、悲しみ、怒る字、小川妙子さんの字に、熱き、情熱と、壁を破る強さ、激しさを感じた。

 ご自身の詩を文字にした作品を記念に買わせていただいた。

 

夜の明けるまで

しずかに語り合っていたい

時は風のようにかけぬけていくから

長く暗い闇の中で

心の谷間に 流れあう音を

聞きながら

私達は息を殺して

夜明けを待つ