母の幸せを願って

 

 

 母の施設が変わることに決まった。22日に、施設を見学し、翌日には、申し込み書と健康診断書を提出し、その翌日に、母のアセスメントをしてもらった。

 

 母は、そこが老人ホームだということを、エレベーターの中に貼ってある、老人達の写真で、気づいているようだった。入居予定の部屋に案内され、質問されると、母の頭には、抵抗、拒絶方法しかない。

 綺麗な部屋ですね。眺めは良いですね、と言うものの、ケアーマネージャーの質問を聞く耳持たずなのだ。お金が高そう、と思っている。

 お昼にサンドイッチをいただいた。母は綺麗に食べて、お皿を合わせて、キッチンに運ぼうと。

 

 私が相談員と、打ち合わせをしている間、母はすっかり打ち解けて、スタッフと話をしていた。

 体験入居をしてから、施設の受け入れが決まるのだが、施設の方で、体験なしで、受け入れてもらえるとのことで、急遽、母の引っ越しが決まった。

 お世話になっている施設には、決まってから、申し出るつもりでいたが、まさかこれほど早くなるとは思っていなかったことだ。

 昨日、弟夫婦、妹と私、全員が集まって新しい施設で、契約をすませた。

 施設は、弟に家から歩いて5分もかからない所にある。全国展開している、介護付きの有料老人ホームで、評判の良い施設。

 宝塚のグループホームに入居出来なかった時には、体中の力と気力が消えて行くような、絶望感に襲われたが、縁がなかったのだろう。

 

 弟の家にお世話になった頃、母が弟夫婦と見学に行った施だった。

入院中、グループホームを勧められて、有料老人ホームという選択は頭になかった。

幾つかの、老人ホーム、様々な形態を見て、この施設が、施設らしくなく、我が家の感覚で、プライバシーも尊重され、ケアーも行き届いているようだ。

 不思議ねえ、と妹が言う。この施設が開設された日は、5年前、弟の誕生日と同じ日だ。

 見えない、糸でつながっているのか、亡き父のお膳立てか、縁のようなものを感じる。