グループホーム

 

 

病院から外出するのは、2か月ぶりの母。外の景色にもあまり興味を抱かない。以前には、綺麗ね、と感嘆していたのに、どこにいるのかを把握できない。宝塚ゴルフ場のあたりまで来ると、「お父さんが良く来てたわね。」やっといつもの母に戻った。

 

 母のマンションに近い場所に出来た小規模のグループホームに入所が決まった。母はそのことを知らない。母は弟の家に帰るつもりでいる。最近、病院を出たくなって、毎日、午前中に行くと、帰る準備をしている。病院から、家には帰らずに、直接ホームに移動する。もう少し、治療が必要だからと、母を納得させるつもりだ。説明するのは、弟の役目。辛いだろうけれど、もうこの手段しか取れないのだから仕方がない。日中は、病院に行ったり、施設に入れる備品の事、退院後の医者探しなど、結構気が紛れているが、夜になると辛くて。胸が張り裂けそうになる。なんとか出来ないものだろうか、堂々巡りばかり、苦しく、泣いてばかりいる。

 

 母の箪笥を勝手にするわけにはいかないので、母を伴って、マンションにやってきた。それにもう一つの目的があった。退院後、母を診てもらう、かかりつけの医者を決めなくてはならない。ホームへ往診もしてくれる条件がいる。私が通える時は通うつもりだけど、行けない時には、往診を頼めなければならない。施設からは連れて行ってもらえない。これまでの血液検査のデーターをを持って、母が以前にかかっていた医院に行った。

 2年前に、介護の認定をそこでしてもらっていて、この9月が期限なので、そのこともあって、出来れば、その医者に、母を診てもらえないかと。

 

 医者は、血液検査の経過を診て、「膠原病らしいが、膠原病のどの病気なのかを突き止めるのは難しい。私もリウマチ学会に所属しているけれど、より専門的な先生と相談してみます。ステロイド治療は、骨破壊、感染症、肺疾患などを診ながら、治療しなければならないから。」と言われた。

認知症のテストでは、以前よりも大分進んでいる。介護度が上がるだろうと言われた。

 

 病院の看護婦長も、母にはグループホームが良いですよ、と勧める。入居する予定のグループホームは、部屋は狭く、共有の空間も狭いので、足腰の衰えが心配。生ものは出ないので、母の好きなお造りは、外出でなければ食べられない。トイレも洗面所も共有だから、寮の生活みたい。部屋に冷蔵庫は禁止。

 有限会社だから、料金は安くない。

 良さそうだと思った所は、2年待ち。今日、もうひとつ、グループホームを見学させてもらった。

部屋は広く、洗面、トイレ、IHの設備が各部屋にある。共有部分のスペースも十分だし、建物の中庭は散歩出きるようになっている。

 入居者は、仲良く楽しそう。値段は、安くて、半額に近い。デイサービス、リハビリ、特別養護老人ホームも兼ね備えている。これほどの設備と内容が充実しているのは、国からの補助金があるから。

 入居待ちの人も多い。「今一室空いていますが、待っている人が入居します。」3年待ちの人が見学に来たという。

 グループホームは、それでも高いので、特別養護老人ホームが空けば移りたい人もいる。特老は、200人以上待っている。

 

 母のマンションのある建物は、恒例の夏祭り。店が出ている。FM宝塚主催のライブや、盆踊りなど、小さいけれど、結構にぎわっている。