寂しい、と痛感する時

 

 今夜も、お酒はよそうと思ったけど、

 ワインが無性に飲みたくなった。

 吉田さんを思うと、ワインが離せない

 乾杯、と言っても、届かない 声。

 

 一人で、ワインを開ける時、

 

 寂しさが 押し寄せてきて、

 空虚な空間が広がっていく

 深い、深い 孤独感の中に

 溺れるように、グラスにつぎ込む

 音、音、つんとすましたような

 透明の 澄んだ ワインとガラスが

 からみあって、嘆く 

 ワインの麻薬に酔い

 

 思い出の中に 浸ると しばし

 会話の中で 

 笑いさざめきながら、飲むワインの

 甘い 芳しい 空間に

 グラスを合わせる 柔らかな 音 音

 

ワインを一人で 開ける時

 言いようのない 寂しさが 周りから

 私の 心の 奥深くに 忍び込んでくる