境港「魚山亭」

     翌日、まだ雨が降っている。大山を通って、日本海に抜ける予定だったが、そのまま地道を走って、 境港を目的地にする。途中、100円で地の野菜を売っていた。人参ばかりで、ピーマンが一袋しかなかった。のんびりした田舎の風景が広がる中に、鮮やかに花が咲いている。途中に花回廊があるというので、この道を選んだが、道なりに花回廊があるのではなく、そういうテーマパークだった。日本海に来て、花のパークを見に行く時間は勿体ない。道路は市街に入り、その先は海岸通りに入って行く。途中、いくつかの通りに、「仲買市場、食事所あり」などという看板が目に入る。行く過ぎるままに、とにかく境港まで行って見ることにした 。目的は、昼食に新鮮な魚を食べること、境港はがらんとして食堂などなさそうな雰囲気だったが、一軒だけあった。前の広い駐車場に車が何台か止まっている。最初は、この近辺で働く人の為の食堂かと思ったが、わざわざ食べに来ている人達のようだ。      派手な品書きが店の表に貼っている。漁師鍋を食べさせてもらえるような、素朴な店を探していたが、そういう店はなさそうなので、ここで落ちつくことに決めた。  中は一階は満席状態で、二階に案内された。二階も空いている席はわずかだった。メニューはどれも安い。注文した上刺身セット(1280円)が来るまで、運ばれていく料理に目がいく。  注文した上刺身セット 色紙 海鮮ちらし(980円)が美味しそうと思ったら、店のお勧め。 次に海鮮寿司に大きな椀からはみ出した蟹汁がついたものは、スペシャルセットで、これもお勧め。注文した、上刺身というのは、7種類の魚の刺身、と言う意味で、この店のお勧め「満腹刺身セット」にすれば良かった、と残念な気持ち。メニューの裏側に、お寿司(4貫500円)もあり、刺身は好みで、一種類一皿300円、他に揚げ物や蟹汁など、一品の数々が書いてある。一品で注文すればよかったと、これも後悔。なかなか来られる場所ではない。境港は、松葉ガニが本場、蟹が一番の売りのようだ。食事を終えて、階下に降りると、階段やトイレの脇に、所狭しと写真や色紙が貼ってある。有名人が沢山この店を訪れている。テレビに何度も紹介された店でもあった。観光客が、この店を目当てにやって来る。地元の人が安いからやってくる。トラックも停まっている。働く人達の食堂でもある、気さくで庶民的な店だった。     港には、釣り船が沢山停泊している。のんびりして、眺めも良い。たった一軒の食堂だから、なおさら風情がある。