昭和に会える町「岡町」

   

 叔母を見舞っての帰り道、岡町の、桜塚商店街を通った。

  お腹が空いて、ここを通る度に、一度入ってまたいと思っていた

  食堂に入った。

  店頭には、日替わり800円という、寿司とうどん過、中華そばとのセットが出ていた ので、それを食べるつもりだった。

 中に入ると、外から見るよりも広い。随分古くから、やっている店のよう。

 テーブルの上に、650円のセットメニューがあって、巻き寿司とバッテラに、半分のうどん付き。私はこちらを注文した。うどんが半分くらいが良いから。

 お腹の大きい猫がいる。可愛いとは言えない、顔つきの猫だけど、今お店の招き猫なの だ。

  客はなく、一人っきりで、閑散としている。

 バッテラと巻き寿司は、美味しいほどではなく、うどんも汁は辛い目だったが、なんとなく、田舎の食堂という感じ。

  

  食事を終えて、店を出ると、果物屋に並ぶきんかんが目にとまった。

 ここで買ったみかんが、すごく美味しかったので、きんかんも味が良さそう。

  つぶが大きくて、完熟のきんかんだ。

 店の主人は、愛想が悪く、売ってやる、という横柄さがあるけれど、看板は、高級果物、と書いている。

 高級にしては、値段を安く抑えている。

  一盛り、100円という、だいだいを見ていると、

 「食べられないよ。」とつっけんどんに言われて、通りすぎたものの、

 ミカンと、キンカンを買いに戻った。

 とても美味しいキンカンだった。

 目利きの効く、商人が、スタイルを変えずに、昭和の匂いを大事にしながら、昔も今も、変わらない味を売っている。

 黙々と、愛想悪く、職人の心意気を、感じさせる、商店街だ。

 私はこの商店街を通るのが好き。