画家の輝ける時

 少しづつ、気が向けば片付けている。旅行先で買った絵ハガキも随分ある。

個展の案内状が出て来た。

今は、活動を停止してしまった画家のDMなど、惜しいなあと思う。

青春時代を駆けぬけた、足跡をみるよう。

絵を志して、生涯続けていける人は、それほど多くないのではないかと思う。

パリ郊外の画家村に住む画家が言われた言葉は印象的だ。

「なんの為に生まれて来て、生きるのか。画家に与えられた使命感に従っていく。」

吉田さんも、よくそういうふうな事を言われた。

神の使命に従って、与えられた道を日々精進しながら絵を画いてく。

そういう人は稀だ。とてつもなく強い意志と、情熱がなければ、貧困をものともせずに、

画家として生命を燃焼させることは出来ないだろう。

その歴史は、一筋の蜘蛛の糸のように、光を浴びてか細く輝いている。綱渡りのようなあぶなっかしい生き方。

 食べんがために、様々なやむにやまれぬ事情から、職業を変えて、暮らしてる人達の、心の底に流れている思いはいかばかりだろう。

 せつなさがこみあげて来る。

絵がくべき手を、別のものに置き換えて暮らす人の、かつて情熱をかけた作品を見れば、貧しくても、絵筆を置かずに人生を全うすることが出来る人の、幸せも。

個展の案内状には、画家の自信作が選ばれているだろう。

 輝きの時が刻まれてるだろう。