久しぶり「たけ福」に

   

  本を整理してたら、あいだみつおの本をみつけた。

母が買っていた本。早速、施設に持って行った。

 ひらがなが多いので、漢字を忘れていく母が読みやすい。字の暖かみと、簡単な言葉で綴られてはいるけれど、深みのある詩も母の心に届くだろう。

 母は、興味深そうに、しばらくは、その本の字を追って読んでいた。内容が暗くなると、 読みたくない、という意識が働くらしい。死ぬのだから、というような言葉が出ると、

「怖いわね。死ぬなんて。」

 補聴器の電池が切れたと言われて、インターネットから、まとめ買いしたのを持って行く用事もあって、毎日母に会いに行っていたら、母の対応が違っている。

 あら、来たの?と普段通りの生活の中に、私がいるようで、安定した感じを受ける。

 あいかわらず、行くとすぐに帰るように、促されるのだけど、私が一人でいくことを心配してくれるのだけど、顔を見せた時の、母の反応が違っている。

 あいだみつお、の本のなかに、「なのに、が出ると愚痴が出る。」という言葉があった。そうだな、と納得する。

「何々なのに、」とは、してあげたのに、とか、こんなにしているのに、とか思う心から出てくる言葉で、見返りを要求する言葉。

 私もきっと言っていると思う。いわないようにしよう、と思うけれど、きっと一杯言っているに違いない。

 母は、そういえば、なのに、と言わない人だ。

 

 久しぶりに、梅田にある、居酒屋「たけ福」に。

オリンピックで、すっかり暇だった、と店主。

  空いていたカウンターも、そのうちに一杯になって、忙しい。

 オリンピック疲れで、そろそろ終わりだし、飲みたくなったのでは?

  以前にいた職人さんは、やめて、奥さんときりもりしている。

 てきぱきと機敏に働く奥さん。

 若い女性客も定着していて、美味しいし、値段が安いから、

  家族でやらないと、経営は大変だろうな、と思う。開店当初、閑古鳥がないている頃、

 この店に行っていた。きっと流行りますよ。これだけ美味しかったら。

 あれから、3年くらいになるのかしら。

「まだ、借金がありますから。」

二人で、沢山飲んで、食べて、7千円余りだった。