味の違いと味わい

  

 朝から雨は降っていたものの、心配したほどではなく、普通の雨だった。

 友人と、ヨドバシカメラで待ち合わせ。

 買ったばかりの中古のリコーGR2を持って行く。カバーがないので、古いペンタクスのカメラのカバーを外した。デジタル以前のもので、少し大きい。

 西宮駅の構内で、人だかりが出来ているので、なんだろうと思ったら、ボランティアのフラダンスを披露している。

 早速、新しいカメラを出して、人混みをかき分けて、ぱちり。

 最初の被写体のターゲットになった。

 このカメラ、すっと欲しかったから、嬉しくてたまらない。

 友人に会うのに、首からかけて、見せびらかしてみせる。

 「これ、買ったのよ。」

 中古には見えないくらい、新品同然のカメラだ。

 首にかけるテープがついていた。以前持っていた、GRのひもが不細工だと言って、

息子が、リコー専用のをプレゼントしくれたのと同じようなもの。

 手ぶれ防止はついていないカメラだから、紐をかけて、ピントを合わせると、綺麗に写真が撮れる。

 

  地下街の酒場「大和」は、雨でもあって、列んで待っていた。カウンターだけの店だけれど、10分も待てば、たいてい座れる。

 今日はどうかな、と思ったけれど、10分で順番が回ってきた。

 水槽の中に、めずらしく、車エビが沢山入っていた。

  この店の売りの一つで、一匹180円、塩やき、踊りのカクテル、寿司と好きなように調理してくれる。

 握りと塩焼きにしてもらった。 

  タコのぬたは、殆ど生に近いタコを使っている。造りの種類も沢山あった。

 本まぐろのほほ肉の造りが、最も上等で580円。これがトロよりも、美味しいくらい。 肉のたたきにも似た味だった。

  カンパチの造りは、新しいけれども、味は淡泊だった。かんぱちは、上質のものでないと美味しくない。

 美味しいものを、味わってしまうと、どうしてもそれに比較されることになる。

  何にでも言えることだ。

 食べ物ではないのだが、岡町の商店街で、木作りの椀を特売していた。

 立ち寄って、ちょっと良いな、と手に取ってみたものの、買う気にならない。

 悪くはないし、すごく安く売っている。使い勝手の良い大きさだ。

 けれど、神戸のそごうで買った、稲庭うどんようの椀に比べれば、使う気になれなくて、 買わなかった。私がつ買っている塗りの椀は、15000円を奮発して買ったもので、塗りの美しさ、深さに惹かれて、思い切って買ったもの。

  カメラだって、以前にGRの味を覚えていて、後発のGR2がほしかったけれど、グリップがすぐに剥げるという欠点があって、修理にお金がかかるということもあって、それになにより、他のメーカーに比べて、値段が高いので、欲しいと思いながらも、今に至ってしまった。

 諸々の欠点を考慮しても、欲しいという気持ちは失せず。ついに手に入れたわけで。

 手に取ると嬉しくて、どこかに、出かけて行こうという気にさせる。