カセットから流れて来た、淀川長治の声と映画音楽

 

   

 映画好きの私の為に、友人がくれた、カセットがあった。

 淀川長治解説の映画音楽をダビングしてもらったカセットだった。

テレビを見ていると、動けないので、音楽を聴きながら、動けば良いと、久しぶりに、CDレコーダーのカセットに入っている、フランス語を聞いた。片方のカセットをかけると、 淀川長治の肉声で、映画音楽への思い出や、映画解説が聞こえてきた。

 肉声の主は、もうこの世にいない。感慨深い。

懐かしい声と口調と共に、「日曜映画劇場」での、さよなら、さよなら、さよなら、の

顔が浮かぶ。

 どの映画音楽も、私に取っても、懐かしく、心に、わーっと広がって、心がときめき、 なんともいえないくらい、感動する。

 昔、夢中で見に行った映画は、深く心に刻まれて、感動はそのまま、いえ、それ以上に深く、広くなっているが、最近見る映画は、そのテーマソングも、忘れてしまうほどだ。

 

 確かに、昔の映画の方が、良かったと私などは思えてしまう。

 「ブラザーサン、シスタームーン」の音楽が流れると、感動が120パーセントのなっている。

 「ブーベの恋人」も久しく聞いていない曲だった。

 最近は、テレビで、昔の映画を良くやっていて、先日も「ゴッド、ファーザー」の3部作を見たばかりなので、このカセットの収められている、テーマソングを聞いても、懐かしい感じはしないけれど、「ブーベの恋人」や「ブラザーサン、シスタームーン」を聞くと、特別の感情が蘇って来る。

 こうして、昔のカセットを聴くのも、素敵だなあ、と思った。

楽しい事なにか、ないかな、と思ってみるけれど、こんな所に、隠れていたのに、ずっと気づかないで、暮らしていた。