男と女はばらばらなのよ

 

男達の話は、どうしてこう下ネタばかりなんだろう。酒の肴に、下ネタ。

いつだったか、高校時代の同級生で、某私立大学の美術教授が言っていた。

「すべての話は、XXに通ずる。その話しか、この世の中に存在しない。」

女達の話は、もっぱら食べ物の話ばかり。美味しくて、安いランチに、デザートの話題があれば、話に花が咲く。口ネタである。

ランチを食べて、コーヒーを飲み終わっても、お水のおかわりだけで、延々と口ネタは続く。

「男と女は、ばらばらなのよ、」マルグリット、デュラスは、ため息混じりにつぶやいた。

ばらばらの、わかり合えない男と女が、結婚という契約と拘束の元で、何十年もの長い年月、形だけは寄り添って、生きて、死んでいく。お互いに心の中は、ばらばらに。

「生きている間は、仕方がないけど、 死んでまで、夫と同じお墓にははいりたくない。」と思っている奥さんは、結構多い。

 女ばかりの、共同墓地や、永大供養してもらえる、マンション風のお墓、散骨希望など、女達は、ひそかに、自分用のお墓を探している。

 お墓の話を、どうしようかと、男達から聞いたことはない。当然のこととして、夫婦は一緒にお墓の中だと疑わない。

 女の身体の話、女の身体に終始して、女達の懐に抱かれて死んでいくだろう、と男達は、勝手に夢想している。

 「男と女は、ばらばらなのよ。」デュラスは、一人、お墓の中でもつぶやいているだろう。