ロンドンに行けない

ロンドン行きのユーロスターに乗るために、北駅に向かった。

パリでストはめずらしくないが、最近は、特にひどくなっているらしい。長いと3ヶ月もストで、地下鉄や国鉄が、動かないこともあるらしい。

 私も、列車の遅れにあった。北駅で、キャリーバッグを足でひっかけられた。私がかがんでいる間に、リュックの中から、パスポートの入った袋を抜きとられたらしい。

 リュックの口が開いているので、中を調べると、その袋がない。真っ青だ。

近くにいる職員に、盗まれたというと、ポリスの事務所に案内してくれた。

 ポリスは、慣れたもので、日本語で、申請書を書く書類を出して、記入しろという。

記入は、日本語ではない。3枚の紙に記入すると、中に持って入って、紙切れをくれた。 これがパスポートとして通用するから、これでロンドンに行けるという。

出発の時間は迫っている。大慌てで、ユーロスターの乗り場を聞きながら、たどり着くと、 もう入ることは出来ないという。1時間先の列車に変えてくれたのだが、フランスとイギリスの検問所があって、この紙は、フランスの中だけにしか通用しないので、パスポートがないと、行けないと言われた。

 なんとか今日のうちに行きたい、ポリスでは、これで行けると言われたと言うと、

聞いてみると言って、イギリスの事務所に入って行った。しばらくして、やはりだめだ、という。

 日本大使館に行って、今日中にもらいなさい。そうすれば行かれるから。タクシーに乗ってすぐに、という。

私は、まずは、アパートに帰り、ないのを確かめ、大使館の電話番号を調べて、電話をかけた。係の人が言うには、戸籍謄本が必要なので、ご家族かだれかに、取ってもらい、それを大使館あてにファックスしてもらい、こちらに届けば、至急発行出来るそうだ。

 ポリスへの届け書、写真、が必要だ、という。

 弟のお嫁さんに、電話して、行ってもらうことに。

一晩中起きていた。朝、ファックスを送ったというメールを見て、9時前まで待ち、

ファックスが届いているか聞くと、まだわからないので、電話をしてくれることに。

 しばらくして電話が鳴り、大使館からだった。私のパスポートを拾った人が、電話をして来たという。とても信じられないくらい、ラッキーだった。

 拾ってくれた人は、とても感じの良い人で、お礼を、というと、いらない、という手ぶりで、すぐに去って行かれた。