子供と母親

 オブジェ

 整骨院をやめて、整形外科に通っている。

 車で、15分くらいかかるので、家の近くに変わろうかと

思っているが、親切な先生なので、ふんぎりがつかないでいる。

医院の壁には、表彰状がいくつもかけてある。

地域の救急医療や、介護医療への貢献に対する感謝状と表彰状。

 看護婦さん達も、親切で、感じの良い人ばかり。

車の検査受けに出す前に、今朝も、リハビリに行った。

帰りのラジオで、母親との思いでをファックスで募集したものを

読みあげていた。

入院している母親に、ありがとう、と言われる辛さから、

ありがとうはやめてよ、と「すみません」と言ってもらうようにした

息子さん。

注射の1本も変わってやれないのに、ありがとう、と言われると、どうしようも

なく落ち込んでしまう。

「すいません」なら、いえいえと鼻をこすりながら、おどけてみせられる。

最後の一日になってしまった夜、母親に「また来るからね。さようなら。」と

別れを告げた思いでがよみがえる。

行くたびに、

病院を出る時に、「このまま会えないかもしれない。」と寂しく思ったこと。

その頃の思い出は、楽しかった日々だった、と。

一人の女性は、八つ当たりしていたことを、母の入院で反省したけれど、今は又

元気になって、優しさに甘えて、ストレスのはけ口に、との反省の弁。

それぞれの子供だった大人と、お母さんとのドラマ。

母親にストレスをぶつけたり、八つ当たり出きる人は、お母さんの前で、子供でいられる

人だ、と思う。親に遠慮のない人、距離のない人、甘え、頼っている人。

母は、いつまでも母であり、子供はいつまでも子供のままの人。

「いつまでも、あると思うな、親と金。」

父の残した数々の中の一つの言葉。

私の教訓になっていて、それらが、私の行動思考を形成しているように思う。