小沢イズム

 

小沢一郎イズム」が集英社から、文庫本として出ている。2006年9月に小沢さんが、書き下ろした単行本なので、政権を取る以前に書かれたもので、去年の11月、に書かれた、文庫版前書きが載っている。

小沢さんは、「、政治とは生活である以上、もちろん個々の政策では、時代の流れ、社会のニーズに細かく対応しなければならない。しかし大筋において、つまり、理念やビジョンに関して、政治家はぶれてはいけないと思っているが、本書を読み返して、自分が「ぶれていない」ことを確認出来たことは、喜びであり、誇りである。」と述べている。

 この本に書かれている内容は、小沢さんが、[小沢一郎政治塾]で、小沢さんが話す内容と同じようなもので、政治家を目指す人にも、そうでない人にも、特に、若い人達に読んでほしいと書かれたもので、読みやすく、理解しやすい本だ。

政治とは何か、政治家はなにをすべきか。

 仁徳天皇のエピソードとして、私達が学校でも学んだ、[民のかまど]の話を引用している。

 民のかまどから煙が立っていないのを、天皇がご覧になって、民の貧しさを憂い、3年間無税にした。そのために、朝廷の収入はなくなり、皇居の大殿はぼろぼろになり、雨漏りもするようになった。

 そのかいあって、3年後、国中の家から,かまどの煙が立ち込めるようになった。

高き屋に のぼりてみれば、煙り立つ 民のかまどは にぎわいにけり

天皇は、[私が豊かになった。]とおっしゃると、妃は「皇居が朽ち果て、修理する費用もないのに、なぜ豊とおっしゃるのですか。もう3年、無税にされるというお話ではないですか。」と聞かれた。

天皇の位はそもそも人々のためにつくられたもの。人々が貧しいと、私も貧しく、人々が豊かになると、すなわち私が豊かになることなのだ。]

と答えられた。

[政治とは生活である。国民の生活を豊かにするのが政治家の務めだ。]と小沢さんが、訴える原点にある、天皇のイメージ、政治家のビジョンをこの文章が示している。

天皇とは、そもそも人々のためにたてられたもの]だと小沢さんは書いている。宮内庁長官の発言に、小沢さんが、怒りをあらわにしたのには、こういう理念に基づいている。

 小沢さんは、「小沢イズム」の中で、日本に今、明治維新以来の、改革が必要だと書いている。小泉改革が、国民の生活に格差を拡大させた。

国民の生活を取り戻すために、「改革を実現出来る良きリーダーが必要だ。」日産のゴーん社長の成功例をあげている。ゴーン社長は、2年で立ちなおして見せる。それが出来なければ、責任を取って辞任する、と言った。偉いのは、黙ってついていった社員達だ、と。

日本の政治にも、「責任を持って、改革を実現に向けて、国民を引っ張って行くリーダーが必要だ。政治は結果論。出来なければ、責任を取って、政権を交代する。」とうのが、小沢さんの理想とする政治の在り方なのだが、マスコミは1企業の事なら、蚊帳の外なので、文句は言わないが、

政治家に、(力を持たせないように)独裁だ、権力の横暴だ、権力乱用だ、と足をひっぱる。

 小沢さんが、尊敬する政治家、大久保利通は、「当時の状況を冷静に把握したうえで、改革を大胆に推し進めた。その結果、様々な抵抗や反発を招き、ついには、旧友でも、同士でもあった西郷隆盛と袂をわかつ。」

 小沢さんにどこか似ているでは?日本の独立と近代化の礎を築いた、と述べている。

 小田信長、坂本竜馬原敬、小沢さんが、尊敬し、目指す政治家達は、暗殺されている。

 小沢さんは、暗殺されるのではないか、とその危険さえ感じる。右翼の街宣車、凶弾入りの封筒、検察官僚は、小沢さんの政治家としての命を断とうとする。マスコミに嫌われている小沢さんは、いつも悪か黒としての、標的になっている。

 私も、「ごく少数の熱烈なフアン」の一人にされているのだろうか。そうではない。

 以前にも言ったけれど、政党は、分裂と統合をこれから繰り返しながら、やがては、二大政党にほぼ集約されていくだろう。

 小沢さんが、民主党に合流して、民主党らしさが失われたのなら、小沢さんと再び分裂すればよい。自民党も、メルト現象であることは

間違いない。核分裂と融合を繰り返して、議会制民主主義を育てて行くだろう。その礎に、小沢さんがなれば、それでよし、と小沢さんは思っているだろう。