民主主義政治は育たない

 

日曜日、紀伊国屋で友人を待って本の立ち読みをしていたら、外で、拡声機の音が大きく響いてきた。なんだろうと、外に出ると、街宣車が、次つぎに、連なって、民主党打倒、売国奴、小沢などの、罵声と共に、軍歌を流している。異様な風景だ。

民主党大会での、ものものしい警備、テレビでも、右翼団体の車、日の丸をかかげた、デモ隊が映っていたが、白昼、街のど真ん中を、どこから出て来たのか、次から、次に、右翼団体の、合同組織であろう、車が通って行く。信号で止まるので、中に乗車している人達が見える。若い女性もいる。最後尾の車、あたりで、カメラを向けた。

 小沢さんは、危険に晒されている。身震いした。民主主義を唱え、運動してきた人達は、実際に殺された人もいれば、改革を阻止され、社会から抹殺されたことだろう。

 民権を唱えることは、国民が主権者となり、その代表である、政治家に、国民の民意を委ねることになる。官僚主導の、国家権力を保持しようとする人達、天皇崇拝を唱える人達、日本の国粋主義を唱える人にとって、小沢さんは、潰しべき、敵対者だ。

 検察の横暴、越権を、正すために、「取り調べの可視化」を法律化しようとしている事は、警察、検察にとっては、[聖域を侵すもの、]ということになる。民間からの起用など、もってのほかというわけだ。

 さらに、小沢さんは、内閣法案で、[在日外人の地方選挙権]をこの国会で提出することを提案している。公明党がこの法案を出すたびに、自民党が反対して、潰してきた法案である。 警察官僚出身の、国民新党の亀井さんも、「国の治安が乱れる恐れがある」と反対している。

さらに、[国民の代表である天皇は、国民から選ばれた、政治家が国民の為の政治をするのだから、政府の方針に従って、お仕事が決められる。]

と言えば、天皇崇拝者達の反発が凄い。

 

 沖縄基地移転先の候補に挙げられると、どの地域も反対する。沖縄の代わりに、自分達が、という声は一つも出ない。

民主主義は、まだ日本では、育っていないのではないだろうか。個人を、互いに認め会い、その違いを受け入れ、共に共存していこうとするのが、民主主義なのではないだろうか。

 小沢さんが、目指している、議会制民主主義が、やっと実現出来るようになるか、と希望を持った人達は、少なからずいるだろう。検察のリーク、マスコミによる、検察寄りの、国民誘導的、発言と誘導。

 官僚主導による、自民党政権が崩壊して、政権交代出来た。政権与党になれば、政治資金も豊富になるけれど、野党には厳しい。政治に金がかからないのは、理想だけれど、お金をかけないで、選挙に勝つことが出来るのだろうか。ポスターを張るにも、お金がかかる。有権者の元に足を運ぶのに、お金がかかる。運動員もいる。ボランティアばかり使える人だって、お弁当と交通費ぐらいは、かかる。ポスターの枚数がいる。

選挙に勝つためには、どれだけ、足を運び、有権者の声を聞き、理解してもらい、政界に代表として送ってもらえるように努力するのか、顔を知られるようになるのか、名前を覚えてもらえるようになるのか、それに尽きる。地盤のない、新しい人達、有能な人材を発掘するのに、お金がかかる。

 小沢さんは、献金を、浄財と言う。大切な浄財を、有効に生かして使うことが大事だ、と。その為に、法人格ではない、陸山会では、登録出来ないから、小沢さん名義で、土地を買っている。これらは、小沢さんには、言うまでもなく、個人とは関係のないもので、政治資金の為のもの。

 万年、借家が良いと考える人、資産価値のあるもので、運用しようとするもの、小沢さんは、後者のタイプだ。 大切なお金だから、そう考える。

今回の逮捕の後、アンケートで、民主党の支持が落ち、70パーセント近くの人が小沢さんに幹事長をやめてもらいたい、という意見だと、新聞に書かれた。

 

民主主義が、実現するのも、壊れるのも、全ては、私達の判断にゆだねられている。ああ言えば、あちらに、こう言われれば、こちらに。