利益追求のワンマン会社だった。

 

翌日は、グループホームで、運営委員会がある。初めての会議、要望が出せるのでは?と参加届けを出している。行けるだろうか。湿布をして、横になる。

久しぶりに、ぐっすり眠った。毎日3時間すると目を覚ましていたので、寝不足が溜まっていたのだろう。

 そろりそろり、ゆっくり動きながら、グループホームに出かけた。インフルエンザ対策という題目だったが、要するに、新型インフルエンザになれば、入院するか、施設で、隔離して、家族と看護婦を雇って看るか、のどちらかだ、といいことだった。

 名指しはしないものの、あからさまに、私に対する、執念深い攻撃が、代表(社長)の口から出てきた。どれも、これも、私が母にしていること、お願いしていることに対する全面的否定。

 

 1週間ぶりに会う母は元気だった。妹家族が面会にやってきた。母は赤ちゃんを見ると、すっかり元気で普通になる。

 5時になって、妹家族と一階におりてくると、代表がいて、「また面会に来てあげてください。」と猫なで声で言ってから、私に向かって、

「あなたは不満がおありですから、どこに行っても、満足しないですよ。お母さんを見るのはあなたが一番です。家に連れて帰られたらどうですか。夜中、徘徊してへとへとになるでしょうね。」と切り出した。それから、

「あなたが来られない1週間、お母様、あだやかに落ち着いておられました。あなたが来て、連れ出して歩き回られると、夜、興奮されて、徘徊されたり。疲れるのです。」

「食事が少ないと言われるけど、お母さん、相当食べてますよ。」

 妹の娘が、「来てくれるな、という言い方やね。」と。

 先ほど、夕食の量を見て、「こんなに少ないの?」とあきれていた妹も、代表の前で、笑顔で何も言わない。彼女は月に一度も来れないのだから、何も言えないのだ。

私なら、一人だから、いざとなれば引き取って世話することも出来なくもないから、と妹は言う。代表は、自分に逆らうものは、徹底的にやらないと気のすまない人で、ちやほやされて当たり前の人なのだ、と妹は言う。他の家族も、家に連れて帰れないから、目をつむって、何も言えない、と。

 私は、間違っていた。これはグループホームでは事実上なかった。グループホームを経営するワンマン経営者の利益追従型の、同族会社であった。有限会社なのだから。

社長が、不動産会社が経営する、グループホームを引き合いに出して、自分のグループホームを語るのは、ライバルはそういう経営体だから。

お金に汚いのも当然だ。建設費の回収にやっきになっている、光熱費もすごい節約ぶり、お金を使わないように必死だ、という妹の話で、初めて納得が出来た。

よりよいグループホームに、入居者のサービス向上、なんて、真剣に考えてきた私は、馬鹿なのだ。ヘルパーさん達は、一部始終を、社長に報告するように、言われている。

私の一言、一言が、被害者意識で、ねじ曲げられて報告されていることがわかった。それも社長の口から。え?と思うような話が伝えられている。それは何故なのかも。社長へのおべっかなのだった。

 

 弟夫婦が施設を訪問したら、その日はすき焼きだった。暴力的だったMさんの家族が肉を差し入れた。果物やお菓子など、よく差し入れてくる。老人の要求によるものだが、入居者全員で分けるので、すぐになくなる。相当量を見込んで差し入れすることになる。

 お陰で、母も肉を食べさせてもらっているわけだ。おやつのグレードも上がっている。 弟夫婦は、ゴーフルを持参して行ったらしい。私が頼んでいたから。この施設は、持って行くことが当たり前になっているから。