病室に入ると、病院の相談員からのメッセージが貼ってあった。そこに相談員がやってきた。23日の午前中にコンフェランスがあり、ケアマネージャと私たち家族と相談員とで、母の退院後の生活のプログラム作るという。弟が参加出来ないことはすでに聞いていて、お嫁さんに一任されているので、大丈夫だと言われた。
昨日、弟のお嫁さんから、23日のコンフェランスの話を聞いて、母に「退院も近いかもしれないわよ。」と言った。そして、もう一度、弟の家に電話をかけに行っている間に、母は冷蔵庫の中のもの、戸棚の中のものをすべて出して、テーブルの上、ベッドの上に並べている。
ここを出て行かないといけない、と整理をし始めた。
「今日じゃないのよ。まだまだなのよ。」と言った。母は昨日も、今日も、そのことが気にかかっていて、「ここは無くなるらしいね。出て行かないといけないらしいわ。」と言う。母はその病室が、自分の家だと思い、気楽で居心地が良いので、そこから追い出されると勘違いして、気がかりでしかたがない様子。
今日は夕方になって、内科の主治医が部屋に母の様子を見に来られた。
母はこの先生が大好きで、嬉しそうに、感無量という表情で、涙目になっている。昨日から薬が半量になっているけれど、それでも、プレドニゾンは、使い方の難しい薬だそうだ。
「お食事も,美味しいと喜んで全部食べますし、病院にいるほうが、良いらしいです。」と言うと、
主治医は、「リハビリとか、母に良いこと、効果的な事があれば、部屋も空いているから、このまま入院していてもかまいません。まだ一月過ぎた頃でしょう?」と言ってくださる。
母はすでに46日目、先生もいちいち覚えていないのかもしれないが、
母に、「先生がまだまだずっといて下さい、と言ってらしたよ。」と言うと、母は安心したようだった。
こんなに殺風景で、何もない場所でも、毎日、整理して置き場所が変わっている。母は母なりに工夫しながら、ベストな形に置き換えているのだろう。冷蔵庫に入れている、野菜ジュース、プリン、や果物がどんどん無くなっていく。買い足しては入れておくが、日に何本も飲むようになった。脱水の心配はなさそうだ。逆にトイレに立つ回数が増えている。
退院しても、十分普通の生活は出来るような気もするけれど、体力が落ちていることは確かだ。体重も増えない。
身体の痛い時が、まったくないわけではない。起き上がる時に痛むのだろう。ベッド脇に置いている簡易トイレで、用を足している時もある。
いつもではないけれど、たまに。今日、なんとなく匂うので、ふたを開けたら、「わー、こんなに」と声を出してしまった。母は照れ臭そうに笑っている。プレドニゾンが半分の量になって、このまま順調に行ってくれるのか、心配する。