ディア ドクター

 ディアドクターhttp://deardoctor.jp/

 映画は、観終わって、感動した、よかったで終わってしまうものと、観終わった後から、始まる映画がある。ディアドクターは、後者に属する映画だ。

 医者の資格って、何だろうか?医者の存在意義とは?医者の仕事とは?疑問を投げかける映画だ。

映画の冒頭から、にせ医者じゃないの?と感が働く。そのまんまの笑福亭鶴瓶が、医者を演じているという印象。4年間も無医村だった村にやってきて、献身的に働き、信頼されていた。ある日、突然失踪して、にせ医者であることが判明するが、彼を悪く云うものは誰もなく、追う警察の方が、告発されているような錯覚を抱くほど。彼のいなくなった診療所は、最早診療所ではなく、病気をかかえている人達は、治療をしてもらう手立ても、薬も手に入らない。

 医学は、人を助ける為にある。病気は気から、というが、心と病気は切り離せない。心をつくして、献身的に働く医者は、たとえ免許があろうとなかろうと、患者の心のケアーをし、信頼と安心を提供してくれていたのだから、高齢化が進み、社会から取り残されていく、住民にとって、彼は、資格のある医者よりも、頼りになる存在なのだ。複雑な感情は抱きつつも、親近感と感謝の気持しか残らないし、医者であれば良かったのに、もう一度、戻って来て診てもらえることが出来ればいいのに、と残念な気持ちで一杯だろう。取り残された病人達を、信頼のおける、本当の資格のある医者が来てくれる希望はない。

 私たちは、一体、どう考えて行けばよいのか?解決できる方法は,はたしてあるのだろうか?鑑賞者に、重大な問題提起を投げかけている映画だ。