退院まで、秒読み

 

 母は、今朝も元気。朝、病室に入ると、すでにお粥もみそ汁も、残さず食べ終わって、薬を飲むところだった。卵を一つ食べて、ミルクを飲んでもらった。体温計を買って来たので、測ると36度5分。 平熱。時間と共に、母の体重が変化するので、病院の検温計では足りないので、体温計を買った。

 昼前になると、微熱が出る。熱が出ると連動して、少し痛むところが出てくるが、夕方になるとすこぶる良くなる。以前から夕方には元気になっていたが、朝食時から痛がらず、きちんと座って食べているのをみるのは、プレドニンを服用するようになったから。

 夕食に、まぐろの造りなどぺろりと食べ、ご飯も10割食べるようになった。

 口に入れたものを、飲み込めなくて滓を出していたのだが、喉に通るようになったらしく、出さなくなった。

 最近は、何でも美味しいそうだ。

  昨日は、夕方来ると、冷蔵庫に入れておいた、草餅を2つ食べ終わった所だった。

 これでは夕食が食べられないのではと心配したが、結構食べられた。

薬剤師が、このプレドニンを飲むと、食欲が出て、食べ過ぎるので、肥満になりやすい、と言っていた。 

 今まで、食べなくて困っていたから、こちらはありがたい。体重を量ると、39キロしかない。42キロあったのは、むくみによるものだった。ふっくらしていると思っていた手の皮が浮き彫りになって、皺が皮の流れに光る、水面のように見える。

ふくれあがっていた足首が、細くなっている。もともと大根足だったのが、普通の足になっている。いくら食べても肥満には、まだほど遠い。

 昨日の夕方、リハビリを担当してくれる整体士が部屋に来て、これまでの経過を聞いた。 可愛い男の子なので、母は、あからさまに「可愛いわね。」と見いっている。

今日から、リハビリが始まる。

「無理ないように、楽しくやりましょう。」

毎日かどうか、わからないが、母の楽しみが出来たようだ。

 今飲んでいるプレドニンを初め、リウマチの薬は、感染症に対する抵抗力が落ちる。

薬というのは、諸刃の剣。必ず、副作用がある。

 医者は経過を見ながら、プレドニンの量を減らしていくと言う。抗リウマチ剤を使うかどうかは、まだわからないが、使っても、この先、何十年もではないのだから、食欲が出て、痛くなく、快適に過ごせるようになれば、とも思う。その反面、年寄りは、感染症に対する抵抗力がないのに、その上、更に負担がかかるというのも気がかり。

 廊下で内科の主治医に出会った。

「順調に回復していますね。リウマチなら、なんなら退院されますか。リウマチで入院していなくても良いから。」

 「今日からリハビリが始まるのですが。」

 「じゃ、リハビリが終わったら。」

 次の血液検査でCCPをお願いしています、というと、手真似で、一旦病室に、という。

 

 「まだ炎症もあるし。」というと、リウマチ患者は、それがなくなることはないから、と言われる。「内科的には全て調べて、無気肺の小さな部分はみらるが、それが問題にはなっていませんし。」と言われた。

 今、すぐに帰っても、お嫁さんも困るだろうし、母の足腰もまだ確かではないので、リハビリで、様子を見てからということにしてもらった。

医者は、母が早く退院したがっているだろうから、あとは通院でもよいと判断していたようだ。

 「居心地が良さそうです。注射はないし、食事も美味しいらしいですから。」

 

 もう少し、母の体調を整えて、血液検査の結果も良くなって、リハビリをしてもらって、と私は思っているが、退院すれば、私の負担は少なくなる。もう少しの我慢。