「命」ほど大切なものはない

      母は体が痛くて起き上がれなかった事も忘れている。昨日、今日、朝行くと、すでに朝食を食べた後で、今朝など、看護婦さんが、「あっというまに食べられましたよ。全部です。」と言われる。バナナが冷蔵庫にあり、ミルクはまだ手をつけていないが、お粥300グラムとスクランブルエッグは残さず食べた。ミルクを飲んでもらった。成分を見ると、鉄分が普通の牛乳の15倍も入っている。

 昨日、看護学生の研修最終日で、母の身体日誌という手作りの本を作ってくださっていた。リウマチように、温める方法、貧血に良い食事などを、丁寧に調べて書いてあった。母へのお手紙も。鉄分は、一日に6グラム取らないといけないそうだ。母が毎朝飲んでいる、共進低脂肪は、鉄分が3,6グラム、入っているので、これを飲めば、あとは適当に他の食品で十分補えるようになっている。病院は、考えて、選んでいることがわかった。そのことを看護婦さんに話すと、彼女も知らなかったようで、「私もこれからこれを飲もうかしら。」と言って、これからは患者さんにも勧めてもらえるとのことだった。

 昨日は、久しぶりにシャワーを浴びることが出来た。ここ二日間、朝から平熱になっている。プレドニンは即効性のある薬だけに、副作用もあるので、炎症が治まれば、徐々に減らし、他の薬を使うようになる。リウマチの薬は、随分開発されているので、治らないが、以前は苦しんでいた人達も、元気に生活できるようになっていると聞いている。

 昼食前に、体重計に乗ると、43キロになっている。朝から、散歩する姿を見て、看護婦さん達も声をかけてくださる。「良かったですね。」

病院の中で、歩いて散歩できるお年寄りは、母ぐらいなもの。母はそういうお年寄りを見ると辛くて涙を流す。「かわいそうやねえ。」

 隣の病室の、床ずれの患者さんは、デーセンターでも、内科の医者でも、わからなかったそうだ。そんなことがあるのかと、不思議ではあるが、

母のケースでも、高齢者の肺炎、認知症患者の末期で食べなくなる、痛いと思いこんでいるのではないか、など、ステレオパターンだと思われていたのだから、「いいかげんですよ、こちらがしっかりしないと。」と娘さんが、言われる通りなのだろう。

 昨夕、母は沖縄の踊りを踊り始めた。いつまでも元気でいてほしい。「命」ほど大切なものはない。