今思えば、

子供がまだ小さかった頃、北鈴蘭台の泉台、という所に住んでいた頃のこと、近所の奥さんと集まって、洋裁をならっていた。建売の二階建てで、小さな家だった。二階は6畳と4,5畳の二間、その6畳に3,4人が集まって、洋裁を習っていた。

 今でも、家が狭いと思う時があるのに、当時、そういう風には思わなかった。9坪の文化住宅からスタートして、枚方に16坪のプレハブを建てた。そこから、20坪の,れっきとした木造住宅に移ったのだから、広いという感覚さえ持っていた。曲がりなりにも、家族らしい生活をしていた頃の、幸せと呼べるかもしれない、わずかな年月。

 私達に、洋裁を教えてくださっていた方は、やはり近くに住む、素敵な女性で、スマートで明るく、上品な人だった。洋裁教室が、どのくらい続いたのか、半年くらいだっただろうか。よく犬を散歩しっている姿を見かけていたのに、ぷっつりとそれがなくなった。手とか、肩だとか、時々痛むのだ、と聞いていた。そのうちに、お見舞いに伺うと、肥られたのかと思われたが、洋服を着替えるのも大変な痛さなのだ、と言われていた。

 ご主人は、最初のうちは欠勤で、世話をされていたが、それも限界が来て、早期に退職され、奥さんの看病と家庭の仕事をこなされていた。あちこちの病院を尋ね、原因を調べてもらっても、わからないとのことだったが、九州の病院で、難病の指定を受けたと聞いた。

 引っ越しをされたのか、それとも治療の為か、それから風の便りも聞かないままに、私は、また新天地に引っ越した。以来、ずっとそこで暮らしている。

 今母の病気にちなんで、あれこれ調べていると、その方は、膠原病だったのではないか、と思う。風が触れても、痛いくらい、とおっしゃっていた。越えていたのではなく、全体に浮腫みが出ていたのだ。風邪を引いてはいけない、ともご主人の話、肺炎になるのだ、と。

 母が、そうではないか、と疑って、今日も整形外科の医者に尋ねたら、内科で、その血液検査をしているようで、正常なのだ、と言う。

果たして、正確に、正常だと言えるのだろうか。今の所、肺に炎症が見つかったので、その治療に専念する。金曜日に、10くらいでストップした抗生物質、月曜の血液検査では20以上に炎症が上がっていた。老人は、肺炎になりやすいというので、よくあるケースに入れられて、肝心なことを見逃されるのではないか、と疑い深く考えてしまう。