日曜日のマチネーはオペラ「マクベス」

 

 日曜日のマチネーで、オペラ「マクベス」があるので、11時半までに、バスティーユにつくように出て行った。5ユーロのチケット売り場の前で、並んでいる人が、チケットをもらっておくように、と親切に教えてくれた。チケットと言っても、小さな紙切れで、番号を書いているのをちぎってくれる。最前列の銀髪の女性が、勝手につくって持ってきたものだった。が、これがないと、問題が起こるかもしれないので、頂く。1センチ四方ぐらいの小さな紙だから、なくさないようにポケットに入れた。

 前にはすでに14人くらいいる。日本人も3人待っていた。教えてくれた隣の女性は、食事持参で、お昼になると、食べ始めた。最初に、生ハムの前菜、次にクラッカーのようなものを何枚か食べ、それから、シェ、ポールで買って来た、パンを食べた。さらに、デザートに、大きなケーキを食べ、ポールの紙についたクリームを丁寧になめつくしている。 

 

背の高い女性で、髪に所々白髪が交じっている。よくまあ、食べるものだなあ、と関心。私は朝、ご飯と卵(残っているので2つも)のオムレツで、お腹が一杯なので、隣で美味しそうに食べていても、一向に美味しそうとは思わない。お腹すごいな、と思うだけ。

時間を39分間違えていて、始まりは2時半だったので、予定よりも更に30分待たなくてはいけなかった。1時間半前になり、やっとチケットが買えた。そのころになると小腹が空いてきたが、このまま帰るまで食べないでおこう。 

 会場に入り、一目産にかけあがり、最高の席を確保してから、途中で咳が出たら困ると気になり出す。水を買っておくと、安心だから、と買いに行くと、着飾った日本人の女性が二人、シャンパンを注文している。 係の人は新しいのを、勢いの良い音をさせて、シャンパングラスに注ぐ。 

二人は、乾杯して、優雅にシャンパンを飲んでいる。

私はと言えば、水を買うのに、値段を見て、買うか買うまいかを思案する。4ユーロなのだ。チケット5ユーロで、ただの水が4ユーロ。でも、買った。咳予防に。

一幕目は1時間30分、字幕を見るのに、床に中腰にならないと見えない。座り込めば、翻訳文字は見えても、舞台が全く見えない。背の高い隣の男性は、座って見ているけれど。

 

満席の中で、一つだけあるな、とみつけておいた補助席は、途中で入ってきた、入道のようなマルはげの男に取られてしまった。彼は、縄をくぐって中に忍び込んで、幕間にすぐにその席に座った。

 幕間が終わり、立っていると、その禿頭が前方に移動するのが見えた。 すぐさま、その席めがけて突進する。補助席に座ると、隣に座っている老婦人が、彼女の横も空いているからと勧めてくれた。補助席のつもりだったのに、奥に入れてもらったので、立っている人達に、ここが空いているからと合図した。私の合図がわかってやってきた女性は、嬉しそうに、ありがとう、と小さな声で。

二幕目は1時間、座って見ることが出来た。お隣にいる婦人に感謝、感謝。禿頭なので、すごくわかりやすかったことにも感謝。

 肝心の「マクベス」は、歌が旨いというのはわかるけど、現代番の衣装になっていて、コメディーを見ているみたいで、あまり感激はなかった。 中腰で脚が痛いということに神経が集中していたせいもあるだろうが。

高額で買った、貴重な水は、咳き込んで、そっとわからないように、何度か飲んだので、正解だった。でないかな、と神経がそこに行くと咳き込みたくなる。いつもは飴を持っている。カウンターで、飴というのは売っていない。

日本だと、劇場で、飴は必需品のように売っているのに。飴がなければ、それに変わるようなものがある。フランスから輸入していいるエヴィアン水でも高くて200円。それ以上は取れない、というのが日本的常識。こちらは違う。ワインと同格の顔をして、レストランや、キオスクで座っている。