ペール、ラシェーズ

 パリには、モンパルナス、モンマルトル、そして一番大きな墓地が、ペール、ラシェーズの墓地。一度来たいと思っていながら、今回が初めてだ。

 雨模様の鬱陶しい日に行かなくても、という気がするが、そういう時の方がお墓には似合っているかも。

 広大な敷地の中で、地図をもらっても、おめあてのお墓を探し当てるのはなかなか難しい。実に97の墓地区画に分かれていて、その1区画も沢山のお墓がある。

ショパンのお墓はすぐに見つけることが出来た。何人かお墓の前にいて、写真を撮っている。お花が沢山供えられていた。

 次に、モリエールのお墓を探す。このお墓も比較的簡単に探せた。モリエール大通りの通りにあるから。

 モジリアーニのお墓は、結局探せなかった。何度もそのあたりを行き来してみたがだめだった。

 向こうの方に、沢山人がいるので、そちらの方に行くと、エディット、ピアフのお墓だった。探さずに、見いだせたお墓。さすがに人気が高く、お墓の周りに人が集まって、囲むようにして順番に歩いて回っている。

 次に、歩いていると、出会ったのは、お墓の上で正装して帽子を持って横たわっているので、有名な、ビクトル、ノワールの墓。彼はジャーナリストで暗殺された人だそうだ。

 トイレに行きたいのを我慢していたので、ローランサンのお墓の近くにトイレがあるので、そちらに歩く。トイレをすませ、ローランサンのお墓を探しても、見つからない。これもだめかな、と思っていたら、お墓参りに来ているおばあさんが、誰のお墓を探しているの?と聞いてくれた。「マリー、ローランサン」だというと、そのお墓まで案内してくれた。シンプルなお墓で、少しだけお庭になっていてお花が植わっていた。

モンパルナスにある、デュラスのお墓はもっとシンプルで墓石だけだけど、こちらの方が女性らしい。 そこから、偶然に、映画俳優の、シモーニュ、シニョレとイブ、モンタンのお墓を見つけた。ピアフの愛人だったイブモンタン、シモーニュと結婚し、生涯仲むつまじかった二人を象徴するような、仲良く二人の名を刻んだお墓だ。

 お墓を間を歩いていると、なんとなく気分が悪くなる。夕方になっているし、時折雨が降り、陰鬱な気分がしてくる。あとはどうでもよくなって、最後にバルザックのお墓だけは見ておこいうと思った。

石畳が、靴底に食い込んで、歩くのが痛い。帰りに、ヴィスコンティーと書いているので、映画監督のヴィスコンティーかと思って行きかけたら、違った。イタリアの監督が、パリにいるわけない、と苦笑する。マリア、カラスのお墓は、移転している。

バルザックのお墓を最後に、ペール、ラシェーズの墓地を出た。

残念だっのは、「失われた時を求めて」の作者、マルセル、プルーストのお墓に行かなかったこと、あとで、あったんだ、と知った。死者が、死に体を横たえているお墓がこれだけ膨大に多いと、あとまで響くような気がして、お祓いをしてもらいたい気分になった。