間違いを認めないフランス人

 

 

 魚屋で牡蛎とウニ、それに少しだけホタテ貝(煮付けよう)を買った。支払いが59ユーロ、え?そんなに、と驚いて、レシートをチェックすると、12個で11ユーロの牡蛎が2回ついている。聞くと、間違っていたといって、10、5ユーロ返してくれた。別についている10ユーロは何なのだ?と聞くと、牡蛎の殻を開けたお金だ、そこに書いてあると黄色い紙を指さした。

 仕方がないのだ、とあきらめて帰る。レストランでは、目が飛び出るほどなのだから、と。その夜は、牡蛎にうに、朝買っていた、大エビと小エビ、モノプリというちょっと高級なスーパーで買った、ソーセージ、ア、ラ、カンパーニュ(田舎のソーセージという名で、ハーブが練り込まれた太い生のソーセージ)、生ハム、など、良くあれだけ食べられるものだ、冷蔵庫にあるものは、片っ端から取り出して、白や赤ワインと一緒に平らげた。

 翌日、再び、その魚屋で、今度は殻を開けずに買った。

 黄色い紙に目が行くと、12個の開け代が2,5ユーロになっている。それでは5ユーロ余分に払ったことになる。レシートを無くしたから、受け付けてもらえないとあきらめいたが、レシートが出てきたので、カフェに行くついでに魚屋に寄った。

レシートを見せ、開けだいは5ユーロのはずだと、言うと、牡蛎の箱代が入っているのだという。最初は36ヶの計算をして、開け代が10ユーロだと書いていたものが、牡蛎の数が間違っていたのに、それはそのままで返してくれなかった。今度は、透明なプラスティックの箱(日本で入れてくれる箱よるも少し分厚い)が5ユーロかかっているのだと言う。プラトー(盛り合わせる発砲スチロール)が12ユーロと書いているだろう、と指さす。そんなことくらいは、去年から知ってる。去年は、プラスティクの同じ箱に入れて無料だった。開けてくれるのも無料だった。

 

アジアのおばはんが、何度もきやがって、言葉もろくにしゃべれないのに、うるせーなあ、ぐらいに思っているのだろう。

 フランス人は、絶対に自分に非があっても認めない、と聞いたことがある。これか、と思った。

 去年は、まだ景気が良かっが、今年はインフレの不景気で、魚屋は、打撃を受けているに違いない。サービスが悪くなり、以前には無料だったものにもお金を取るようになったのだ。

 魚は、肉に比べて値段がずっと高いから、新鮮で良く売れていた店なのに、今回は夕方でも結構残っている。パック(復活祭)を迎えて、久しぶりに、沢山仕入れたようだ。蟹、はねている大きなエビなどと一緒に、店先に意気の良い殻つきの、コキーユ、サンジャックが 並んでいた。 牡蛎は道路を挟んだ前の場所に台を並べて置いている。自分で選びたいという息子に、「私がやるのだ、」と出てくる女主人、良いものばかり選ばれると困るのだ。