バケットは文化

 

  寝たのは12時すぎていたのに、まだ暗いうちに目が覚めた。するとお腹がすいている。昨日もらってきたおにぎりを一つ食べた。教えてもらった、電話回線を何度も試みるけれど、つながらない。つながったと思ったら、ホームページの表示ができない。

 気がつけば、すっかり外は明るくなり、晴天だ。

 まずは、パンを買いに下に行く。スーパーマーケットは、以前とは別の店になっている。、水が気になって、6本買った。余分に置いておかないと気が済まない性分なのだ。部屋に運んでから パンを買いに行くと、野菜屋さんが見える。野菜が気になった。一通り買うと、大きな包みが二つに。それかから、その向かいにある、エドという低所得者向け?のスーパーに入った。ここは品物が良くて安いと聞いている。ハムとチーズを買い、コーヒーは、買いたいものがなかった。オリーブ油はこれ以上もてないので、やめた。パンを半分切ってもらったのを買って、とりあえず、アパートに帰る。コーヒーがないので物足りないけれど、サラダと、パン、チーズがそろった。選んだチーズが当たりで、美味しい。一つ買うと、しばらく同じものを食べるので、美味しいチーズに出会うと嬉しくなる。コーヒーのない生活をしたことがないので、気の抜けた朝食だけど、日本から持ってきた、ほうれん草のスープが結構いける。熱すぎて、飲み込むと喉の奥を焼いてしまった。スープが焼けながら落ちていく。

 一月の間、多分、コーヒーは一箱か二箱しか使わないだろう。、だから美味しいものを選びたい。去年来た時には、 友人が置いて行った、エスプレッソのコーヒーの残りがとても美味しかった。バターも、ジャムも美味しかった。無くなると、同じものを買った。それいらい、日本でも、バターとジャムをつけて食べるようになった。

 でも、美味しさが断然違う。パリのバケットは特に美味しい上に、バターとジャムがよく合う。日本で食べているトーストとは比べものにならない。ただ、歯と顎が丈夫でないと、堅いのだ。しばらく置くとすぐに乾燥して、よけいに堅くなる。

 日本は湿気は多いから、顔や手がかさつくことは感じないが、飛行機の中から手がかさつきだす。かさかさのごわごわと化した手をさすりながら、堅くて乾燥したバケットを食べる。そういう乾燥に、ジャムとバター、チーズのしっとりした感触は、とてもよく合う。

パンをスープに浸けて食べる。コーヒーカップがスープ入れのように、口が大きいのは、パンを浸けるためかもしれない。

食は文化、環境に適応して、一番美味しい食べ方を要求している。バケットに、無くてはならないものが、ワインだ。乾燥したパンは、ワインをほしがる。