映画「ぼくのおばあちゃん」

 

 

 待ち合わせまでの時間つぶしに観た映画で、ぼろぼろに泣いた。隣の女性も、ぐしゅぐしゅ泣いていた。先日、一押し映画だとい「地球が静止する日」は、大晦日の買い物も後回しにして、わざわざ出かけたのに、居眠りしていた。人間が地球をだめにしたから、人間から地球を救う為に宇宙からやってきて、人間を絶滅するつもりだったが、人間もまだまんざらでもない、自助努力の余地ありということがわかって、地球を去って行く、という話だった。ノアの箱船の科学番。

 一方、「ぼくのおばあちゃん」は、おばあちゃんと孫の愛情溢れる関係を描いている。主人公は、住宅会社に勤務するセールスマン、家庭サービスに時間を割く余裕がなく、お客さんの対応に翻弄されてる。マイホームを注文している夫婦は、同居のおじいさんを老人ホームに入れたがっている奥さんと、それは出来ないという夫、同居住宅か、核家族の為のものにするのか、もめて決まらない。おじいちゃん子の孫は、家を建てることに反感さえ持っている。おじいさんは、自分は老人ホームに行くつもりだからとセールスマンに告げる。

 彼は幼い頃からのおばあちゃんとの思い出を振り返りながら、老人問題でもめている家族を通して、「家族の生活の大切さ」忘れかけてきた、大切なものを見いだすようになる。

 中学生だった頃、彼は、おばあさんが病でなくなるまで、献身的に世話をし、おばあちゃんの為に出来る限りを尽くして、おばあさんを送り出す。

あんな風に、おばあさんと孫との密な関係というのは、実際にはあるのだろうか、と思うと、ふと「がばいばあちゃん」を思い出した。佐賀のがばいばあちゃん。子供の頃、働くお母さんを離れて、おばあさんの家に預けられる作者が、貧しいおばあちゃんと暮らし、学校では習えない、貴重な教育を受ける。作者は佐賀に帰り、おばあちゃんが炊いていたように釜で飯を炊いている。

 

 「ぼくのおばあちゃん」は、ほのぼのと心を熱くしてくれるけれど、こんな関係はないだろうとも思う。ないからこそ、心を揺する。

おばあちゃんに菅井きん、僕に岡本健一 僕を可愛がってくれる、八百屋の奥さんに、深浦加奈子のいつもながらの旨い演技が光っている。彼女の元気な姿がスクリーンで見ることが出来たのも感慨深い。去年の暮れ、別れの著名人の中に彼女の名があった。