祭日の早朝はご用心

 

 息子のパリ滞在は、今日一日だけだが、昨日の疲れと時差ぼけで、一旦は朝食を取ったものの、お腹が膨れると再び眠気が出て、スースー気持ちよさそうに寝ている。日曜日の朝市を見に行きたいと云っていたので、11時半に起きてもらった。

 今日は晴れている。昨日と今日が入れ替わって入れば良かった。朝市で、牡蠣ばかり売っている所があり、新鮮で大きな牡蠣が、魚屋の半額くらいで売っている。立ち止まると、味見してくれと言って、素早く牡蠣の殻を開けてくれた。私は食べないし、息子は、もういらないという。二人が譲り合っているので、牡蠣屋は、もっと大きいのがほしいんか、と聞く。

牡蠣屋の隣に来た人が、いつも買っている魚屋の若者だった。

「うちの牡蠣と同じような良い牡蠣で、こちらのほうがもっと美味しくて安いよ。」

そう言ってくれるので、6個ほしいと云った。

「 6個と云わずに12個買わないかい。」

「開いたのを入れて6個でいいです。」

「それはいい。さあ、どうそ。」

 大きな牡蠣ばかり選んで6個で、6ユーロだった。それから新鮮なばい貝を買った。

このままで食べられるのかと聞くと、ブイヨン、オリーブ、タマネギなどの野菜を入れて20分湯がいてから食べるように云われた。綺麗なのは、生だったからだった。

 

 一旦、持ち帰ってから、ラーメンのような暖かい物が食べたいというので、いつも人で一杯、外で並んで待っている、ベトナムラーメンの店に行った。今日は得に並んでいる人が多い。それでも食べればすぐに出てくるので、それほどの時間はかからなかった。

 息子がボストンのベトナムラーメンの店に行くと必ず注文するのと同じラーメンを注文した。薄切り肉が、まだ赤身のある状態で乗っている。 私がボストンで食べるものよりもこちらの方が美味しいのは、お肉が入ってるからだそうだ。ボストンでは肉を食べないので、海鮮ラーメンを注文する。あっさりしているが、それほど美味しいとは思わなかった。これは美味しい。息子は、ボストンの方が美味しいと言う。きっとそうなのだろう。 焼き飯と生春巻きを注文した。焼き飯が美味しいらしい。生春巻きも美味しかった。

 

 

パリでベトナム料理の美味しい所は多い。材料が新鮮でお肉が柔らかかった。値段が安いのも魅力なのだろう。お茶を注文すると、薫り高いジャスミンで美味しかった。値段は安くないね、と息子が言ったが、こちらはアメリカのようにチップが入らないから、同じようなもの。

 そこを出て、ミッテラン図書館を経て、ボーボワール橋を渡ってベルシー公園を歩いた。ベルシー公園の先は、ベルシー村という、モールのように店が並び、レストランが並んでいる場所がある。そこから、地下鉄に乗って、シャトー、ド、バンセンヌまで行った。

 それでも、昨日の歩きに比べればわずかだけど、アパートに帰って休むことに。あとはだらだら、ビールを飲み、牡蠣を食べ、昨夜買って使っていないホタテ貝で、スパゲッティーのクリーム煮を作って食べた。

 

 従姉妹にお礼の電話を入れると、明日は休みだから車で送ってくれるという。朝早いから、大丈夫だと遠慮したが、彼女が送りたいのだから、と。私は4時半に起きて、準備を整え、迎えの車が10分前には来るだろうと気になっていたのに、息子は25分前まで寝ている。 コーヒーを飲み、いざでようと思うと、トイレに行くという。いつもこれだ。ぎりぎりになってから行きたいと言い出す。外でエンジンの音が聞こえていたので、私は冷や冷やものなのに。

 やっと出ていくと、「いつまで電気がついているのか。10分前に出てくるのが常識だ。」と怒られた。私はそういうことは身にしみているのに、息子はまだわかっていない。

 祭日の早朝に、PERに乗る人はいないという。最も危険なのだという。誰も乗らないから、犯罪はし放題、そばに人がいても誰も助けてくれないらしい。

 空港バスか、タクシーでなければ危険だと、誰でも承知している事だという。パリは危険だとは、何度も聞いているが、祭日の朝や夜の郊外電車は一番危険で、犯罪のし放題だという。やれ、助かった、従姉妹のお陰だと有り難かった。回数券を買っているので、知らずに、乗っている所だった。