ジュ、ド、ポムj

 

  シテラマという雑誌に、入っている券を従姉妹にもらった。土日の二日間、フランスの200の美術館に入場出来るというものだった。名前を住所を書き込んで持って行けば良いらしい。インターネットで調べると、パリでは、「ジュ、ド、ポム」に行けると書いている。コンコルドにある美術館で、今は特別展の開催中だから、常設はないと書いていた。 今は、全館で、ビデオフィルムの上映が行われている。30分くらいの作品が、6つくらい、各部屋で繰り返し、英語とフランス語の交代時間で上映されている。最初に入る部屋は、4面が大きな画面で、真ん中に椅子が置かれている。あとは立って見るか、床に座る人か。

 デンマークの作家によるもので、これが良かった。作家の生活、作品へのイマジネーションで、ストーリーが映像化され、言葉が交わされる。イスラム人を探し、家にに押し入った兵士が、彼らを捕まえ、銃で射殺する場面は、見ている人達に向けられる。強烈な炸裂音と恐怖の疑似体験、イスラムの家で眠る子供達が、砂漠で、ヨーロッパ人の友達と戯れる映像、作家の中に、神がやってきて、彼女と話をする。

 

 

イスラムの二人の子供の一人はアルジェリア、一人はイスラム 、一緒に遊んでいるヨーロッパ人の子供を二人が殺す計画をする。それを導くのは、死の神。神が船に子供達を乗せる。ナイフで刺された子供が砂漠で流す血、近くでいつも子供達が遊ぶのを見ていた作業員が、殺された子供を発見して、嘆く。彼らはアラブ人達。

 子供達に、3人の大人が、殺した理由を尋ねると。子供の一人が、ヨーロッパ人の子供で、親が警察官だから、という。自分たちは子供なので、同じくらいの大きさの子供を選んだ。でないと殺せないから。ヨーロッパ人が自分の親達を殺したから。と。

大人が、こんなことをすれば監獄行きだと知っているのか、と聞くと、子供は、

 監獄に入っているのはアラブ人で、ヨーロッパ人はいない、どうしてなのか?と聞く。アルジェリアの子供が、自分たちの親戚が襲われた話を聞く。大人は「そう、アルジェリアの村をフランス人が襲って、虐殺したのは事実だと言う。」

 「監獄に入れられるのかどうかは、あなた達、大人達が決めればいい。」

と子供は言う。大人達は、返す言葉が見つからなくなる。

 問題提起をつきつけられるのは、私達見ている人達で、答えのないやり場のない理不尽えおつきつけられる。

 この作品だけで、十分だ、とも思われた。他の作品は、それほど心に止まらなかった。