フィラデルフィア美術館

フィラデルフィア美術館は雨ということもあるのか、5時からの「お好きにお支払いください」なのに空いていた。

これがニューヨークの美術館だったら、長い列を作ってならぶ所。

印象派の作品が充実している。

一階にある展示室の半分が、ほぼそれらの作品。

コレクターの寄贈により、部屋に展示されているので、その人の好みが繁栄される。

モネの作品を多くコレクションしていた夫婦の部屋がとても良い作品を集めている。

バーンズでは、ほとんど見られなったモネだが、ここでは多くの作品がある。

秀作が揃っている。

この美術館の目玉は、ゴッホが、雨の景色を描いた作品。煙るような淡い色に激しく斜めに降る雨。

それに、ひまわり。色を抑えて、萎びたひまわりが悲しさを誘う。この作品は、他の作品とは比べようがない、孤高の作品。

アメリカ人が、いかに印象派から以降の絵画に熱狂し、収集に執着したかがわかる。

アンリールソーの二枚の絵画も良かった。独特の雰囲気、丁寧に根気よく緻密に描かれた

絵が、とても現代的な風情を持っている。可愛さがあって、作家の優しさが伝わってくる。

ミロが描いた珍しい絵画。風景画。

アメリカ生まれのイーキンスの作品も多い。

ホッパーの作品は一枚もなかった。ホーマーの作品は、好きなのを含めて5枚ほど。

ルノワールは、比較的小さな作品ばかり。

完成していない、クリムトの絵画が一枚。ムンクはなかった。

セザンヌの水浴を描いた大きな作品は珍しい。サン、ヴィクトワールを両側に二枚展示していて、描いた時期の違いを見せている。

15世紀から18世紀へのヨーロッパ絵画に中で、ルーベンスの珍しい絵を、ターナーの絵画が一枚、調度品や部屋の展示室など。

ルーブルの足元にも及ばないお粗末さ。レンブラントもなかったように思う。

アジア館の、日本の展示は、茶室を移設したものがある。私達にはありふれたもの、

仏像の展示も見世物程度。

確かに、印象派が素晴らしいものを蓄えている。

そう、忘れてならないのは、マルセルディシャンの絵画が一部屋すべてに展示されている。

アメリカの主な美術館だったら、ホッパーの絵画がせめて一枚は展示していて欲しい。

フェルメールがなくても仕方ないが。

個人の美術館がいかに充実しているか、ということがわかる。

ニューヨークのフィリップには、フェルメールが何枚もある。これはとてもすごいこと。

わずかしか存在しない絵画のうち、ニューヨークのメトロポリタンと合わせて、半分近く所蔵しているのではないかと思う。

ホッパーの絵画は、シカゴに大きな作品があり、ニューヨークと、ワシントンに何点か。

ホイットニーが多く持っているが、描いた数が少ない画家だからそう多くない。

メインのポートランド美術館で、初めてホッパーを見た。

フィラデルフィアの特別展示は、静物画、の変遷を時代の要求と共に紹介している。

ほとんど素通り。ジョージ、オキーフの作品が二つ。

早い目に帰りたいので、2時間くらい見て帰った。じっくりみたわけではない。

美術館は、好きな作品を時々、サロンで見るように観に散歩がてらでかけられるのが

贅沢な観方だと思う。

そういう風に見るためには、美術館の会員になっておくと良いのだけど、市民でないとそう行けないので、「好きなだけ払ってください。」とう日は、本当にありがたい。

パリでも、いくつかの美術館がフリーの日を作っているが、同じ日にしないで、別の日にしてほしい。あちこち回って大変なのだから。

日本では、東京や京都に来る特別展は、内容はお粗末なのに、長蛇の列を待たねばならない。その上、中に入っても、見られない。すごい人の数で。よく我慢してみているなあと気の毒になる。

値打ちのあるのは、正倉院展だが、もうあの混みように、行く気がしない。見学する前に気

力が消耗してしまうし、ちゃんと見ることができない。

私の贅沢は、美術館。

ロッキーの階段を下りて、歩いてホテルまで帰った。疲れている。

歩くこと30分。

近くにある、チーズで歴史ある兄弟の食料品店によって、チーズを買い、お惣菜にクラブケーキがあるで、買った。今夜は、お腹の痛さも少ないので、レストランにいくつもロしていたのだが、疲れすぎでホテルに帰って食べようと。

美味しい。小さなパンも美味しい。値段の高い店だけど、それだけのことある。