お盆

お盆が過ぎると、涼しくなると言われる。

 そろそろ秋風もまじってくる頃。

 お盆には、お墓参りと一心寺さんへのお参りはかかせない。

 大谷さんは、京都なので、前後して京都に行った時にお参りする。

 盆の13日、お墓につくと雨、事務所で雨があがるのを待つ人達で

溢れていた。

 お線香は、すぐに消えてしまっているだろうけれど、次に行きところがあるので、

 雨の中お参りをすませて、一心寺に向かった。

 いつもすごく暑くて、人も多い一心寺さんだけど、雨模様もあって、熱さも気にならなくて、

人の混雑も少なかった。

無信心な私なのに、気になることはやらないと気持ちが落ちつかない。

母の母親である祖母と祖父が一心寺の骨仏に納められている。叔父もそこに入っているはずだ。

祖母が可愛がっていた、孫は、音沙汰知れず。

母の妹も亡くなった。わずかに、時々、其の妹の娘さんから送られてくる、母への思い遣りに、

お返しと手紙を添えて、近況を知りあっているくらいで、孫がどこでどうしているのか、祖父母の仏壇や位牌は

どこにあるのか、全くわからない。

母も認知症になって、親のことも、仲の良かった妹のことも記憶にない。

ただ、母がずっとしてきたことを、私が真似して、続けて居るだけだ。

お花を買い、ろうそくとお線香を立てて、母が健在でいることへの感謝。

セガキに名前を書き、念仏堂で、御詠歌をあげてもらう。

一心寺の外に、知的障害児への寄付箱を持った人達がいる。わずかな基金をする。

お下がりの白線香を、母に持って帰る。

母が元気だったころ、私は母に寄り添って、帰りに食事を食べさせてもらうのが楽しみだった。

今は一人、思念の内に帰って来る。

梅田で、カウンターで食べさせてもらえる寿司を食べる。お盆なので、空いていた。

向かいにある、コーヒーの専門店が賑わっている。朝日新聞に掲載記念のイベントだとかの

張り紙がめについて、つい弾きこまれて、コーヒーとケーキを。

コーヒーとケーキを注文すれば、ドリップコーヒーがもらえるというのだ。

85度でじっくりと出すコーヒーは、選りすぐりの豆を使っている。

最初、器を口元に持って行くと、香り高く、アロマが利いていた。

けれど、それは一瞬のことで、西村屋のコーヒーの方が美味しさが持続する。量もたっぷりある。

ケーキは、甘すぎて、こってりして半分残した。

食後にコーヒーとデザートの贅沢は、友人と一緒でなければしないけれど、 

お盆で、お墓参りと一心寺へのお参りに、母がいない寂しさを抱きながらすませて帰る道、

カフェは、渇きを潤して、ほっと心を和ませてくれた。

カウンターの鮨では収まらなかったものを。