年に一度、母の施設で報告会が催される。
私が座っている席に若い女性が座った。
お孫さんかな、と思っていた。
報告会が終わり、お茶とケーキがふるまわれた。
料理人があいさつで、「デザートは好評ですが、料理の方は。
がんばりますので。」
毎年、同じことを言っている。
料理の不満が毎年、アンケートで書かれている。
私は、アンケートを書いたが、出さなかった。
アンケートの結果は、去年よりも低くなっていた。
事故件数も多くなっている。
母が入ったのは、とトップの責任者が良かったからだ。
「ここまでするのに、大変でした。」と言われた。
入居者からの不満や、サービスの不備、問題が多かったよう。
彼女は、近くのグループホームからの引き抜きだった。
1年もすると、彼女は、施設をやめて、しばらくは休養したいとのこと。
24時間、電話などの応対にも、疲労が限界に達したという。
その後、交代した、トップは、変わるばかり、そのたびに低下していく。
若い人達は、入っても、すぐにやめていく。
ベネッセなので、目指す所が、介護ではない人も多い。
良い人は、他に引っ張られる。
健常者で、自由に出はいり出来る人には、良い施設だ。
意見を言わないようにしようと思っていたのに、言ってしまった。
「転倒が60件と書いてますが、骨折などはないのですか?
以前には、骨折が何件とか内容を報告されていたのですが。」
「骨折は何件かございます。」
私達が聞きたいのは、転倒ではなく、骨折で車いすになったりするという結果だ。
入居した時は、歩いていた人が、車椅子になって、多くの入居者が、車椅子で食堂に誘導されている。
エレベーターは車椅子で満杯。
老人ホームというところは、そういう所だ。世話してもらって、弱っていく所だ。
自分の力で、なんでもやらなきゃだめだ、とつくづく思う。
となりに座った若い女性は、後見人だった。裁判所からの任命された弁護士だった。
親族が、裁判所に依頼して、後見人をたてるという方法があることを知った。