東京に行く楽しみは

 東京へ行く楽しみは、歌舞伎もそうだけど、食べる事も。

この前に明治座に来たときに、気になっていたとんかつの店があった。

昼の部が終わるまで、お腹をすかせて我慢して、その店に行くと、閉まっていた。

とんかつの「伊勢」という店だった。

藪蕎麦が向かいにあって、そこで蕎麦を食べて、品川から新幹線で家に帰った。

その余韻をのこしたまま、東京に来た。

羽田から、京急にしようか、モノレールにして、新橋あたりで降りて、プランタンの「モンブラン」を食べようか、それとも、京急で、人形町まで行って、頭に残している、とんかつを食べようかと迷った。

 トンカツが気になっていて、人形町に決めた。

人形町のあたりは、下町の風情があって、私は好きだ。

 浅草にもある、すき焼きの「今半」があり、味噌づけの名店らしい古い造りの店もある。

名物の、「高級タイ焼き」の店には随分な行列が出来ている。

衣類の問屋らしい店があり、甘酒横丁という名前の良い。古くからあるバー。喫茶店もどこか懐かしい風景を残している。

 今半の、向いには、牛かつやコロッケの上げたてを買って食べる人達。

そういう中に、東京と言えばとんかつと言われるような、そんなとんかつの店がある。

 昼の部は、3時までのぎりぎりに近い時間にそこの入った。

 階下はのち帰りようのものを売っていて、階上にあがると、客がまだ沢山いた。

私の後からも、常連らしい客が入ってきた。

 いつものことだけど、それに決めるか迷う。

 牡蠣フライとヘレトンカツのセットに決めた。牡蠣フライとエビフライにも心そそられるが、トンカツの店だから、トンカツは外さない。

ロースが美味しそうだけど、カロリーが気になる。

妥当な選択だと満足。

 牡蠣フライ二つに、とんかつは、大きいのが一枚乗っている。

キャベツとご飯はお替り自由だと言われた。

キャベツがたっぷりあって、ヘレとんかつは、歯がなくても切れるくらいにやわらかで、

 美味しい。残すつもりで全部食べてしまった。

向こうの席に、二人連れの女性がいて、彼女達は、牡蠣フライのようで、いくつか残していた。

男の人でもお腹を満足させるくらいの量があるのに、全部食べてしまいたいほど美味しくて、お腹が一杯なのに押し込むようにして食べた。

関東の食事は、量が多い。とんかつも、キャベツの盛りも、ご飯の盛りも。

 そのお代は、1030円。 

 東京では、とんかつが一番旨い、と誰かに聞いたことがある。

サクサクして、軽い。確かに。旨い。

あと、もう一軒、気になる店がある。築地の「玉寿司」ホテルの並びのある店で、いつもランチを逃している。今回も、芝居が終わって行くと、ランチメニューはなくなっていた。

玉寿司の手巻きが大好き、と誰かに聞いて、大阪の店には行った。

築地の「玉寿司」に、息子と行ったことがあった。

息子の受験で、東京に来たときに、初めて築地の鮨屋を探してやってきた。

東京に良く仕事に来る人から聞いていた、玉寿司はここなのか、と思って入った店。

手巻きは食べずに、にぎりを食べた。

 息子が食べるために生きているようなのは、どうも私の影響らしい。

そういえば、よく、食べに連れて行った。美味しいものにはめがなかった。

 私は子どもの頃から、食べる事に一番興味があったようにも思う。

小学校の、修学旅行から帰って、食べた食事のつけものまで覚えていて、叔母に報告して笑われたことがあった。

 玉寿司のランチが終わっていても、行きたい鮨屋が向かいにある。

立ち食いの寿司屋で、明治座に来た時は、閉まっていた。

すしざんまいの立ち食いの店。

 ワンコインの丼が人気の店。にぎりを食べようと思って入ったのに、隣の女性が、ワンコイン、と言ったので、私もつられてそれを頼んだ。

 づけマグロに、温泉卵がついている丼で、味噌汁付の500円。

大トロ、中トロ、赤マグロの3寛で、500円、というのも頼んだ。

ワンコインを頼んだ女性は、とびこをサービスで頼んで、丁寧に丼の上に乗せて一緒に食べている。いつも来る客らしい。店員が、お饅頭食べない、と箱を出してその人に勧めている。

 東京に来ると、この店に来て鮨を食べる。まぐろばかり食べる。築地はまごろの代名詞だもの。

銀座のキムラヤで、アンパンを買う。これも定番になっている。

翌日、母の所に持って行った。

美味しいと言って食べる母を見ながら、こんなことしか出来ないのが辛いと思う。

母は、私に持って帰らそうとして、丁寧に包み直す。アンパンとみかん。

 母アンパンを二つとみかんを二つ食べた。明日、残りを持って行ってあげよう。

明治天皇に献上したとかいう、木村屋のアンパン。この店も、いつも客で混雑している。