佐渡さんの「第九」

    

明日、フェスティバルホールに第九を観に行くつもりだった。

私も買ったのよ、なんて言って、チケットをホールに取りに行く暇がなくて、

自動キャンセルしてしまった。それで良かった。

クレジットで速払いだったら,行かないわけにはいかなかったので、助かった。

明日に迫って、もう身動きが取れないくらい時間に追われている。

東京から帰って、銀行などの用事をすませ、母の所に行った。

息子達が帰って来るのが、火曜日だと思い込んでいたら月曜日だった。

明日は掃除とお布団を干さなくては。

月曜は、医者の予約も入っているので、買い物くらいしか出来ない。

明日のフェスティバルホールでの、佐渡さんの指揮による、第九は、もう一度聞きたい

と思って、フェスティバルのネットでチケットを予約したのだけど、考えてみれば、

一度聞いたのだし、歌舞伎も行くので、そんな贅沢は控えた方が良いとも思った。

大阪のシンフォニーホールで、母と感動した、佐渡さんの熱気あふれる指揮で、感情が盛り上がって行く。涙があふれた。

その感動をもう一度、と思ったのだけど、二階の後ろの席では、それが伝わってくるかどうか、とも思った。

あの頃の佐渡さんは、5千円で聴けたのに、今では世界の佐渡さんになり、高額なチケットの西宮でのオペラも売り切れるのが早い。

弟からもらったチケットで、西宮芸術劇場での定期公演を聞きに行った。

サンフランシスコでの素晴らしい演奏の後だったので、音が違い過ぎた。それもそのはず、

まだ一人前に育っていくための人達を集めての専属オーケストラ。育てる事を目的にしているオーケストラなのだとか。

 彼らが巣だって、世界で演奏家として活動するようになる。音の上達を聞くのが楽しみなのだと言われて納得。

 佐渡さんの音楽家を育てるという目標がそこにある。

 第九の感動は、思い出の中にしまっておこう。

 もっともっと感動するかもしれないし、がっかりするかもしれない。

だいたい、二番目は、二番煎じになる。

第九は、年の暮れになると、どこかで聴きたいと思う。

シンフォニーフォールで、朝比奈隆「第九」を聞いたことがあるが、佐渡さんの熱狂的でダイナミックな指揮に、身体ごともって行かれて、溢れるような感動を抱いて、母と興奮しながら家路についた思い出を大切にしまっておこうと思う。