ニューヨークの光と影

 

 多分、チェルシーも、サウスフェリーにも、10年行っていないかもしれない。

マンハッタンのアッパー77に息子がアパートを借りていた頃は、自由な時間がたっぷりあった。毎夜、レストランにばかり行っていた。

  マンハッタンから、クイーンのアパートに変わった時も,、息子が一人暮らしていたので、マンハッタンやブルックリンの美術館など、歩き回っていた。

夜はレストランに良く行った。

 フォレストヒルの彼女の家に住むようになってからは、美術館とデパートに買い物にいくくらい。

  オハイオに移ってからは、ご飯作りと散歩か,モールをぶらぶら。

家にいるのと同じような時間割だった。

  マンハッタンは、その間にも,絶え間なく変化して行っている。

 マンハッタンの中に宿を取っていたら、ミュージカルや音楽会にも行けたのだろうけど、 今、かみ合わせを矯正している。テンプレートをはめないといけないので、あまりおそくまで遊び回れない。

 泊まったスリープインは、広くて快適だったが、回りの環境はあまり良くない。

駅のそばに、うすぐらい光で、酒を売っている店がある。

小さいワインはないか、と中に入った。外部からもなんだか薄暗くて、うさんくさい店だった。

 小さいワインがカウンター沿いに見えるが、売り場の前は、タクシーのように、防犯用にカバーがしてあり、老女がその中から、お金だけを取れるような開き口から、品物を渡し、お金を取っている。地下鉄だとかもそういう感じなので、それを想像してもらえばよい。

「冷えたのが良いか、聞かれて、そのほうが良いというと、

 中の奥に,女性と男の人がいて、そこにも、扉で遮断されていて、その女性が、鍵を開けて,入れと指図し、銘柄を撰ぶようにと。

 足もとに、汚い布が引いてあって、大きな骨が二本ころがっている。犬の餌だろう。おそらく大きな犬に違いない。

 そこに、黒人の酔いどれの二人が,わめきながら入って来た。女性も口汚くわめいている。 扉の向こうからなので、防弾になっているのだろう。

 私はワインを撰ぶと、外に出し、鍵をかけた。 恐ろしかった。その二人がいる。

老女が、お金とワインを交換してくれた。

 追いかけられないかと不安になり、こわごわ店を出た。背筋が凍る思い。

 ホテルは、いくつかあって、ベストウェスタンが、スリープインの後ろにある。

ベストウェスタンは、一泊280ドルから300ドルの値段。スリープインは、「近くのホテルと比べて欲しい。倍の値段はする」というようなことを書いていたのは、このベストウェスタンのことだったのだ。

  このあたりで、美味しくて、清潔なのは、サブウェイくらいではないかと思う。他の店には行ってないけど。

 ニューヨークのレストランやカフェは、衛生上のランクがつけられている。それも以前はなかったことで、Aをもらっている所なら、安心して入れる。

 中華の店は、Bの所も多い。ジョーズ上海も、Bランク。不衛生なのだ。新しく出来た店でランクが上の店には、Aがついていた。レストランらしい作りの店が隣に出来ていた。

 先日、入った不味い店も、見ればB。それを見ないで入ってしまった。

  出てから、不衛生なものを口に入れたという不快感で,気持ち悪くなった。

日本では、衛生状態を優秀と良などでわけている。

いちいち見ていない。入ってから気づくこともある。

ニューヨークでは、店の表に、良く見える様に貼ってある。Bの場合は、見落としやすいすみのウィンドウとかに。

 それがなかった頃は,中華料理はこの程度で気にならなかったが、キッチンの中が不衛生だと思うと、食べる気がしないものだ。

 マンハッタンの景色も、変わって行く。新しい建築物が増えていく。

 センチュリー21もいつのまにか、高層になった。以前は3階までだったのが、7階まで売り場がある。その建設費用もあって、海外からの買い物客が増えて、値段が高くなった。バーゲン季節ではないので、空いていた。

 子供服は7階売り場になってた。

ディスカウントデパートメントでも、そう安くはない。専門店の方が値引きしていた。

 バーゲンンの最終に当たると、すごい割引きをするので、今の時期は買う気がしない。

 子供服だけ買った。オハイオのような田舎町の方が,年中バーゲンしているよう。

アメリカでは、メーシーズというデパートが,大衆的市民デパートとして知られている。

土日には、カード会員はカードで20パーセント、メール会員は、クーポンコードで20パーセント、引いてくれる週がある。

 ハロウィン、感謝祭、独立記念日、クリスマスなどに特別チケットが出るので、それを使って買い物をする人達。

アメリカ人は買い物が大好き。プレゼントをするのが大好き。

 手に一杯の荷物をかかえている時がハッピー。

生活に困窮している人もきっと多いだろう。このホテルの近くにある、公団住宅風の煉瓦立ての建物は、低所得者住宅のようだ。ファイナンシャルの困窮者への相談窓口がいくつかある。

 クイーンでも、中国人街が発展して、高層のマンションがどんどん増えていく,フラッシング。フォレストヒルのようなユダヤ人の高級住宅が立ち並ぶ所は治安が良いけれど、この辺は殺伐とした感じで,なにもない。

 買い物など,スーパーというほどの広さはなく、食料品店といったものしかない。

 そこで、ハンバーグや料理,コーヒーなども売っていて、近くにある工場で働く人や、ホテルの泊まり客、料理をしないアメリカ人の胃袋を満たしている。そういう店ばかりが2軒ある。それとサブウェイ。サブウェイはAのラベルが貼ってある。

料理をする人は、ビニールの手袋をはめて、素材を扱っている。

  デパートの帰りに、地下鉄のQ腺が来なくて、30分も待った。普通は何分かに一本走っているのだけど、何本も来たり、ずっと来なかったりする。、ニューヨークでは、こういうことは多多ある。

 他の電車は何度もやってくるのに、Qだけが来ない。

 まちあぐねた人達が実を降りだして、見ている。身を乗り出すようにして。いらついている。

 向かい側のホームで、黒人の元歌手らしい人が、マイクをつけかって歌を歌っている。

 電車の音で聞こえなくなるが、旨い。同じホームにいる人達に、語りかけるように、歌っている。横に,自分の若い頃の写真を置いている。

リクエストしてくれ、と言っている。誰も、お金をいれるようすはなく、電車が来れば乗っていく。

30分も待っていたので、聞こえてくる歌が、だんだんやかましく感じられるようなる。

 やっと来たら,満員。なんとか入った。次の駅で電車は止まったまま、動かない。

代替のバスのアナウンスがあって、どっと出て行った。

 私の降りる駅は、Qだけなので、じっとこのままいるしかない。

そのうちに、電車は動きだし、プラットホームに停まる度に,一杯の人が待っていた。

 もう一度、韓国チゲに挑戦したかったけれど、サブウェイのサラダで夕食。

 サラダがあれば、他のものはなくても満足。夜中お腹が空いている。