京都の春秋座で、「伝統芸能の今」というチャリティー公演に行きました。
市川猿之助を初め、伝統芸能の若手担い手達が6年前から活動を続けている
舞台です。
狂言師の茂山逸平は、この前のNHK朝ドラで、妹の夫役に出演して
いましたが、専門の狂言で演じると、ものすごく大きな良く通る声で圧倒されます。
歌舞伎囃し方田中傳次郎は、この前の、春秋座での猿之助芸術監督就任記念公演
でも出演していました。
で、今回新たに、津軽三味線の上妻宏光とのコラボレーションで、異文化伝統芸能の
新しい挑戦を試みることも、楽しい企画です。
京都の、春秋座を河切りに、5月中に全国の選ばれた場所を回っていきます。
途中から、中村獅童も加わるようで、皆それぞれに舞台があり、専門の仕事もあり、
皆が顔を揃えるのは、相当無理のあること。
毎年、この為に、スケジュールを合わせて、「人の為に何かできないものか。社会貢献がしたい。」と相談して、立ちあがった伝統芸能の今を生きる若手達。
昨日は3時半からの一回公演で、その前日リハーサルをしただけの舞台だったそうですが、息もぴったりあって、熱のこもった素晴らしい舞台でした。
開場すると、相当の人の列が並び、さすがに京都です、綺麗処の舞妓さんに芸者さん、着物姿の女性が目立ちます。
中に入ると、片方では、「手拭い付のカタログ、千円です。」と声をかけています。茂山逸平さんの姿が見えて、カメラを向けてしまってから、撮影ご遠慮願いますという紙にきづいてしまって。早速カタログを買ったら、その向かい側になんと、猿之助が、浴衣姿で、預金箱を持って、立っています。その横には、茶髪の男性、あとで、その人が。津軽三味線の上妻宏光だとわかったのですが。
猿之助に吸い寄せられるように、預金をする人達について、勿論私も千円札を預金箱に入れました。
猿之助は、そのたびに「ありがとうございます」とお礼まで言って頭を下げています。
その横にいる人から、小児癌支援のバッジと木造りの自然保護植樹バッジが手渡されます。
猿之助は、小顔でそれほど背は高くなくて、細くて、可愛らしい感じ。肌がすごく綺麗で、おでこが広くて、色白で、垢抜けて、透き通ったようにまろやかで、格別なんだけど、
それでいて、気さくな親しみ安さが漂っている。
パリ公演で観た時とは随分変わって、余分なものが全くそぎ落とされた感じがする。
笑った顔が少年のようなのに、舞台では、別人のような引き締まった、厳しい顔で、
創作「空破」を、田中傅次郎の太鼓とか上妻宏光の津軽三味線で舞ったあと、津軽三味線で「風林火山」を。
白い着物に、茶色の袴姿の猿之助。手が華奢で、指の先まで動きの美しさが伝わって、凛とした美しさ。
間にトークを挟んで、最期は、逸平の狂言と猿之助の歌舞伎、能と歌舞伎お囃子の競いあいのような、白熱した演技の「石橋」
まず、仙人に扮した、茂山逸平が出てきて、それは、歌舞伎のお囃子で。
仙人が下がると、猿之助の獅子が登場して、能の包みと笛で踊る。
胡蝶が興ざめだった。子供が舞うことが多い二人の胡蝶なのに、大きな男で、しかも相当の年よりが二人、猿之助の獅子よりも大きい二人が、蝶々の役で踊るのだから参った。
私の席は前から4列目なので、その醜さに耐えがたい。市川の名前をもらっている、ス^パー歌舞伎のお弟子さん。
猿之助の獅子までもが、でっかい蝶達のじゃまになる踊りでかすんでしまう。
「胡蝶を省いたほうが良かった。」と帰りのバス亭で、だれかの声が聞こえてきた。
カフェテリアでは、猿之助の芸術監督記念に、サブレやコーヒーなどが限定販売で
売られ、信玄弁当など、皆チャリティーをかねて、その中のいくらかは募金に回る。
観客席の一席が、ソマリアなどの子供たちのワクチン一人分になっているとか。
トークの時間に、6年間で、2千万円の寄付金が集まったとの報告があり、今日の初日で
の中間報告は33万ほど。今までに一番多いとか。猿之助が自ら預金箱を持っていたからにちがいない。
帰り道、毎年来ている人だろう「今回が一番充実しているわ。」という声も聞こえた。
私は初めて。京都が終わって、13は九州博多の能楽堂。14.15は浅草公会堂、17,18は名鉄ホール、19倉敷、21日、福井市民会館、22日柏崎 24日身曾岐神社、
25日長野ホテル、まで巡業の旅が続く。
ゴールドリボンと、世界の子供達にワクチンを、というチャリティー企画。