昭和の匂いがする岡町商店街

      3番街地下の、カウンターで。トロずくし、980円

    

 叔母を見舞っての帰り、岡町の桜塚商店街を通って、駅まで歩くのが楽しみなので、普通駅だけど、ついそちらの方に足が向く。

 昭和の雰囲気がそのまま残っていて、忘れられたような雰囲気が魅力的。

その中に、いつも通っていながら、古本屋があるのは知っていたけれど、外に100円の本や無操作に積まれた,汚らしい感じのがらくたばかり目立つので、本を見る気にならなかった店がある。

店の前に、朝のテレビでやっている「隣の人間国宝」だったかのラベルをもらったらしく、誇らしげに貼ってあるのに気付いた。

 誘われるようにして中に入ると、整理のつかない本が、通路も埋めていて、棚を見て歩けるのは、二筋だけ。

 新品に近い文庫も入っている。

その中で、伊集院静の「白秋」と五木寛之の「風に吹かれて」山田エミの「風味絶佳」の3冊を選んだ。3冊で、560円。風味絶佳は帯付きで、真っ新だ。白秋も、帯はないものの新品のよう。

五木の「風に吹かれて」は、経過年があるので、100円だった。

 主人は、新しい本に、丸善のカバーをつけてくれて、「古いおもちゃが良い値段で買いますよ。」という。

 みれば、がらくたの中に、キューピーの小さい人形が2800円という値段がついている。

 誰が買うのか?お金のあるノスタルジーを大事にしたい、大人達だ。

 ウルトラマンに、ゴレンジャー、ミニカーに超合金など、息子が遊んでいたおもちゃが、 今お宝になっているらしい。

「あるのはあるのですが、首がちぎれたり、手がなかったり。」

「探せばないですか?」

おもちゃ箱にぐちゃぐちゃに入っているものの、どれもまともなものはない。

 ましなおもちゃは、妹の子供にあげた。

 レゴは、段ボールに入れてあげた。ミニカーなども。

 「ほかのあげるからとか言って、取り上げて来たらどうですか?」と主人。

そんなこと、できるわけないじゃないですか、と心の中で呟く。

 何でも置いておくものだなあ。時代はめぐる。

そんな話をして、其の店を出て、商店街をぶらぶらしながら、岡町の駅近くに来ると、

店の店主に似た人がいる。

「おつり渡してませんでしたよね。」と言って、460円を手に平に握っている。

 店をほったからかして、おつりを持って出て来て私を待っていてくれたのだ。

私はすっかり忘れていたのだけど、なんて親切な人だろう。

 これが昭和の時代というものではないだろうか。

のんびりして、おだやかな。家に鍵なんかかけてなくても、心配いらなかった時代。

岡町の商店街は、まだそういう雰囲気だけではなくて、そこの住む人達も、昭和のまま

なのかも。ふわっと暖かいものを受け取った。

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