岸恵子、小野田さん、吉田賢治さん。

    

  

 魂を詰めてブログを書いていたら、頭が痛くなった。その後、ずっと治らない。

出血も止まらない。

抗生物質の薬は3日間だけなので、飲み終えた。

無理したらいけないと、ソファーで寝転んでテレビを見ている。

BS放送で、「この人に会いたい。」という番組で岸恵子が出ていた。

日本とパリを行き来しながら生活している。

パリのサンルイ島の重要文化財にしてされているアパルトマンに住んでいる。

それ以前は、モルソー公園の近く、エッフェル塔が見える所に18年住んでいた。

吉田さんと歩いた懐かしい風景。

この番組がいつ撮られたのかわからないが、その中では42年間パリに暮らしていた

とか。その後、日本を拠点にして、往復しているので、まだパリの生活の方が長い。

パリでは、気をはって、背筋を伸ばして生活していなければならず、それが活力を与えてくれる。日本に帰ると、楽だけど、そのままどっぷり浸かると、それに慣れてしまうとイージーな生き方しかできなくなるという。

岸恵子の若さは、パリでの生活が育んでくれたからなんだ。

パリに長く住んでフランス人との付き合い方を学び、頭打ちを繰り返して、フランス人を理解し、パリの自由で開放的な生き方を、楽しめるようになるのだろう。

 別の時間、NHKのBSで、小野田さんのドキュメンタリーを観た。

30年間もの長い間、ジャングルの中で、一人、孤独な戦いをしていた小野田さん。

ブラジルに渡って、牧場を開き、その牧場が軌道に乗り、余裕が出来た頃、こんどは日本の子供達のために、自然学校を建設して、20000人の子供達を招待して、サバイバルの訓練をしている。執筆活動、講演会と日本での活動を広げ、飛行機に乗るまで、ブラジルのことは忘れているという。

 ブラジルの牧場に帰ると、ほっとする、解放された気分になれる。

小野田さんの風貌は、どこか吉田賢治さんに似ている。

 頑固一徹の、性格と無類のない人間愛に満ちた所が、顔の表情にまで現れている。

 曇りのない澄み切った目が、物事の本質を見通す力を示している。

 てこでも動かない、強い精神力と神の啓示だと思われる、使命感。

戦前の人が、皆そうだったわけだはない。

 小野田さんは言う。

「 頑固で、親と衝突した。自分の信念をまげなかった。だから、早くから家を出て

独立した。」

 親を棍棒で殴り殺したニュースを見て、小野田さんは思った。

「子供が親もとから離れて、独立できれば、こういうことにはならなかった。子供たちの為に出来ることはあるはずだ。

自由で伸び伸びとした精神、自分がやりたいことを自分で見つけ、それに向かって踏み出すような環境を作ることが大事だ。」

吉田さんは、戦争から帰ると、若い教師になった。子供達に、自由に絵を画かせることに専念し、学校での教えも子供たちのそれぞれの個性を尊重して、遊ばせてばかりいるので、

型のはまった権威主義の上から、非難された、と笑っておられた。

小野田さんと吉田さんは、自分が自由にものを考え、其の責任のもとに希望を持ってものごとに取り組んできた人達だから、閉鎖的な日本から、飛び出して行った。

 岸恵子にも共通するのは、「自由でいたい」「自分の生き方を貫く頑固さ」だと思う。

それが出来るのは、自立した精神力を持つ人だ。

孤独を愛する人だ。