豊かさとは

      暮れに頂いた、西陣織のカレンダー

お正月にいつも招待してくれる友人宅を訪問しました。

暮れにも会ったので、今年は家でゴロゴロしていようかとも

思たのですが、お布団も干したよ、というメールをもらって、

重い腰を上げて出かけたのですが、すっかりご馳走になり、

初笑いで、お腹が痛くなるほど笑わせてもらって、豪華な

調度品に囲まれて、バカラのグラスの数々で、ワインやら、

レミーマルタンの最高級のコニャックを開けてもらって、

贅沢なお正月をさせていただきました。

家に帰って、比べれば、なんと殺風景な我が家でしょうか。

駅まで、愛車のジャガーで迎えに来てもらっていて、家に着くと、ステレオで

モーツワルトの四重奏。、雰囲気づくりをしてもらって、

早速、友人自慢の手料理を充てにしてビールから。

夫婦ともに、昔からの友人ですが、子供も小さかったり、離れていたので、

その頃の生活は、あまり知らなかったのですが、家を増築した時に買ったものだと

いう高級なインテリア家具の一つ一つ、乗馬関係のコレクションに、レプリカとはいえ、お宝で出せば高い値のつくGUNものなど、凝り性で、一流のものしかいらないご主人が集めたコレクションに囲まれての生活を楽しんでいるのを見て、こういう生き方が、熟年夫婦の生活を豊かなものにしていて、賢明なお金の使い方だなあと思った。

「お金がない。」と笑っている。今は、歴史書や小文書などの専門書を随分買い込んで、家で勉強に余念がない。

居合抜きの稽古に励み、わずか二年で道場を開き、弟子が15人くらい。

道場も自分で建てた。ヒノキ造りの増築を見せてもらって、私はその器用さに驚くばかり。

 出来る人は何でもやりこなす。大工さんも舌を巻くほどで、創作意欲が強いので、各所に工夫をして、夏場は全開できるようにし、釘を使わず、木組みで作りあげ、支えるためには鉄の補強を隠しで仕上げている。

 毎日が充実している、好きな事をして、好きなものに囲まれて、健康にも良いのだから

言うことない。

 

とかく安ものばかり買って、何度か買い替えている我が家の絨毯よりも、ずっと色鮮やかで美しく、痛んでいないのに、何十年も経っている。ペルシャ絨毯は汚れないそうだ。

美術館に寄贈できるようなもので生活しているということは、無駄のない生きかたをしているということになる。

 お金の余裕があっても、ひたすら貯蓄に励む人の方が遥かに多い日本。

文化が育たないのは、日本人の多くは貧しかったし、勤勉で真面目、贅沢を嫌う風潮によるのかもしれない。

 貧しい暮らしをしてきた人と、親の代から、遊びを知って来た人との間には、隔絶された、美の世界があるのかもしれない。

口の肥えた舌を持っている人が満足する料理と、口に入って、お腹が大きくなれば満足という人の料理との違いのように。