ベルンと、音楽祭

    

このホテル、掃除をしている部屋がちらりと見えた。広く,調度も洒落ていて、悪くない。

膝にクッションを乗せて、不自由しながら、ブログを書いている私の,息がるまりそうな部屋も,快適な部屋も同料金なのは、納得がいかないけれど、あたりが悪かったと思って諦めている。

身体の疲れが取れないままに、リスボンをうろついている私は,一体何者なの?

日本にいても落ち着かないし、異国に居ても、身体の調子が狂って頭が朦朧としている。日本の良さを再認識するために、ここに来たようなものだ。

    

 何度も言うようだけど、石畳を歩くのは疲れる。

ポルトから、リスボンに帰る時に予約している、アルファマ地区の,スイートまでの行き方を調べておこうと、ホテルから、ロシオ広場まで歩いた。

 すでに日は高く、11時を過ぎている。

    

 リベルターデの大通りの両側に,パレードの観客席が階段席になって、高く組まれている。

 ロシオのあたりは,賑やかで、便利そう。友人は駅前にホテルを取ったというが、正解。

 どこでも駅前が無難だ。そんなホテルは随分前から、空室がなかった。この時期、この祭り。

 次のホテルは、28番の市電がそばを走っていると書いているので、それに乗ろうと思って、他の人達も一杯待っている、バイシャ、シアードの地下鉄から近い停留所で待っていても、一向に電車が来ない。昨日はあれほど沢山走っていたのに。

自動車に乗った人が叫んだ。すると、隣にいた若い女性が、電車がないらしい、と。観光客達は路頭に迷うような不安顔。

    

彼女は、例の私が前日乗ろうと思った,733番のバスがあるから、と教えてくれた。遙か,向こうに、ポリスがいる所。

 案内所の近くには、12番の市電がいて、それも城の回りを行くので、それに乗ろうと思って、そこまでもどった。

15番の市電もそこから出ている。

私の一日券は、15時まで有効なので、15番に乗って、30分でベレンまで行くので、先にベレンを見物して、と15番に乗った。

        

     

ベレンで見物してから、チケットを買えば、明日,ポルトに行く地下鉄にも乗れるだろうと。

ベレンについたら、2時半。お腹は空いて,トイレに行きたくて。ここには、チケットを買う場所はない、と教えられた。15番の中で、あるいはバスの中しか。 15番の中は、2,8ユーロの一回券しか買えない。

時間がない。一旦地下鉄のある駅まで帰って、6ユーロの一日券をチャージしなくちゃ。

バスに乗った。地下鉄のマークがあって、そこで降りようと。

バスの停留所は、主要な場所だけ書いている。運転手に聞くと、15分くらい先なのだそう。

満員のバスに乗って、地下鉄のある駅で降りた。6ユーロで一日券を買い。トイレのマークがあるので、助かったと思いきや、工事中・子供達を引率中の先生が、係の人から聞いた場所に、移動するので、それについていく。

別棟の新しい建物の中にトイレがあった。

 やれやれ。もう一度15番の市電に乗った。

ベレンに、美味しいパステル、デ、ナタの店がある。そこに入ると、一杯の人で、椅子に座れそうな席はあいていない。

 これはお菓子の店,カステラとプディングをあわせたようなもので、シナモンと粉砂糖をかけて食べる。

 コーヒーのエスプレッソと2つ買って、店内に入ると、席にいたカップルが、ここに座れと言ってくれた。

 ありがたや。彼らは、英語は全くだめな、年配の夫婦で、観光客ではないよう。美味しいか、と聞いているようだ。美味しいと言わねば。まあまあだけど。 お腹が空いていて、中途半端なものでお腹が満たされた。

そびえ立つ見事な、ジェロニモス修道院に。

教会には、バスコダガマの墓がある。片側には、詩人のカモンイスの石棺。

荘厳で立派な教会。ステンドグラスも素晴らしい。

 そこに併設されている,修道院は有料。

修道院の中庭を挟んで、静かな瞑想の場にふさわしい,回廊が続く。しばらく、座りこみたい気分。疲れを感じる。

 楕円形の広い食堂の壁を飾るのは、素敵で,落ち着いたタイル絵。

上の上がると、中庭を見下ろして、明るい太陽は燦々と降ぎ、まぶしい。

    

 グラビアなのか、素敵な男女のキスシーンを撮影している。何度もやり直している。

 結婚式をあげた,カップルの白と黒のドレス姿で。モデルか、スターか、背が高くて、とてもスタイルもルックスもよい。

     

 修道院を出て、もうあまり歩く元気がなくて、発見のモニュメントのある近くまでは、のそのそと歩いたが、もう諦めた。どおってことないわ。

 15番に乗った。ホテルは気になって、12番でも良いから,乗っていようと。 幾ら待っても、昼間は走っていたのに、来ない。

 30分待っても来ない。他の人達も待っている。線路にそって、歩いて行こうと思って、細い坂道を行くと、市電の所を封鎖している。年寄りのおばあさんも、その道を上がって行く。荷物をもって。

 上がっていくのもいやになって、途中で引きかえす。鰯を焼いている。炭火をおこしている。店の前でビールを飲んでいる。

     

 時間はすでに夜の七時半だ。

 ロシオの近くにある、ニコラという店と、魚のレストランが、ファド、と書いていたので、ニコラにまず聞いてみたら、明日だと言うので、もう一軒の,少々は高そうな店に入った。

一人客は,私だけ。

10人くらいのグループ。隣も向かいも皆カップルか、家族。

    

 白ワインをグラスで注文。ボトルでもそんなに高くないけど、飲めない。

 ミックスサラダと、カルトフィッシュのフライ。

 隣のカップルは、生ハムを注文していた。沢山あるので、食べられない。

 ファドは、3曲歌って、席を立つ。回りががやがやして、聞こえにくい。

歌が終わると、拍手をするのだけど、彼らは、お喋りに気を取られて、聞いていない。

 カルトフィッシュが、いかだと言うことを忘れていた。

 焼きすぎのイカだけど、美味しい。

 普段はコレステロールが多いから,好きだけど食べないイカ。一杯あって、だんだん,辛くなる。

 ワインをもう一杯注文。グラスに一杯は入っているので、ハーフはあるだろう。

途中で、店長だしき人が来て、

「もっと色の薄いものをだせますが、どうでしょう。」というので、お願い、と言った。少しだけにして欲しい、とも。

 ほうれん草のソテーが、またついてきて、これが美味しい。

    

野菜サラダと、ほうれん草のソテーが、身体に染みこむように入った。

 隣の人の料理は、海老のリゾットだった。リゾットなんてどこにも書いてなかった。聞けば良かった。

 リゾットが食べたかったのに。

勘定を頼むと、今後の為に名前を、と書いている。そんな必要ない。古い歴史のある店のようだし、とても親切だけど、来ることはないだろう。JCBが使えると書いているから、そうまずくはないだろと思って入った。

 店を出ると、ものすごい人になっている。沿道に、ぎっしりと人、人、人。パレードが始まっている。

 空いた所を探しながら、パレードを見ていた。男の人が、「あの人は有名なアーディストだ。」という男の人は、手を振って声援に応えている。

絵描きか、と聞くと、映画スターなんだそう。

 しばらく歩き、また覗くというように。だんだん混んでもう近くに行けなくなって、時間も遅い。もういいわ。どこでも同じようなものだもの。

 パレードは、見物席のある場所で、パフォーマンスしているので、間は歩いて通るだけだ。地下鉄に降りると、下から上がってくる人達の多さ。

夜通しとか言ってた,音楽祭。ベビーカーを持って来ている人達もいる。

仮面をつけたり、鰯の帽子をかぶったり、緑のナイロン帽子を配っていた。

 大騒ぎのリスボンだけど、もう眠くて仕方ない。背中は,洗濯板みたいに張り付いて,曲がらない。もういいや。