細川護熙「心の山水」

 

   えびのおどり

  昼食時、久しぶりに、酒場「やまと」に並んだ。

席は空いているのに、客を制限している。まだ仕込みができていない

からだろうか。

お酒も、料理も、値段が安く、美味しいので、人気店だ。

店先に、生きたエビを泳がせている。

酒類は、すべて、380円。料理も、お肉から造りまで、480円くらいのものが

多い。

安いので、つい、飲みすぎるのが、欠点だ。

ビールのうまい店として、客はビールを飲み、それから、冷酒か、かん酒、に、ワインなどを注文している。

昼間は、酒の回りが良くて、私は、ビールと白ワンで、すっかり酔っていたのだろう。

タコ刺身と、鯛の皮付きさみ、二種で980円

食後に、阪急の9階で開催中の、「細川護熙、心の山水展」を観に行こうと、一枚しかチケットがないので、あとの一枚を、格安で買おうと思って、大阪駅の方に歩いて行ったら、

映画館で、「舟を編む」を見ようと、映画館のあるビルに来ると、ここは、やっていない。

女性4人の顔写真が出ていて、その映画が見たいと、友人が言うので、7階まで上がって、

入場券を払って、それを見ることに。

ペダルダン

 映画はすでに始まって10分くらいたつので、真っ暗な中、あわてていて、階段につまずいて、こけた拍子に、利き腕の左手で支えたら、打ち付けと、階段の角で、手首をそらせて、痛くてたまらない。

手首が腫れてきた。母と同じ左手の手首をやってしまった。

ずきずきする。映画を見ていても、気になって仕方がない。

カメラ撮りがすごく綺麗で、海と風に、揺れる彼女達の身体と表情が、心象風景を映し出して、時間が緩慢で、言葉も自然のつぶやきに似て、映像美に優れた、詩的な映画だった。

 その後、私は、明日までの、チケットをもらっていたので、阪急に。

 従妹が、手紙を添えて、送って来てくらたものだった。

 細川護熙の、屏風絵、絵画、陶芸、書などが展示され、それに、作者の文章が添えている。襖絵は、地蔵院と、建仁寺に。

 地蔵院が荒れはてて、その襖絵を描くのに、建仁寺を使った。ここにも、と頼まれて、夜桜、と秋の紅葉に染まる山々を描いた。

 壺に、生け花が、素晴らしい。

 こちらのほうが、良かったのでは?と思いながら、手の痛いのをがまんしながら。

政界を引退して、湯河原の、祖父母の別荘であった場所にある、桜守になって、そこに住まって、16年になる。

 朝は5時に起きて、農作業をして、忙しい頃に読めなかった書を読み、40代の頃、書かされていた字ではなく、買いたい書を楽しみながら、書くようになった。

 陶芸なら、同じ土いじりだから、今からでもできるのでは、と、最も好きな、安土桃山時代の茶碗を学ぼうと、奈良の、辻村三郎を訪ねた。

 そのまま、そこに居座って、1年半の修業を続けた。

辻村から、「もう帰ったほうが良い。」と言われて、無言の免許皆伝をもらって、湯河原に、窯を作った。

茶室を自分で作り、そこで、好きなように、茶を楽しみ、客を迎える。

ほとんど、一人っきりで、楽しみを追及する、生活を送っている。

16年と言えば、それほど長い期間ではない。その間に、様々な事に挑戦し、素晴らしい作品を生み出し、深い省察と、知識を深め、生活は、質素を楽しんでいる。

心の山水、ここにあり。手びねりの、陶芸作品の形と色が、温かくて、柔らかく、柔軟な

性格を表しているが、書は、繊細な筆使いで、一途で、頑なな頑固さを秘めている。

 三陸の、津波から守る、植樹のプロジェクトを立ち上げ、先頭に立って、活動し、植樹に汗を流している。

 同じ階で、オンワードの製品を回収している。毛布になるそうだ。

火曜日まで。処分したいオーバーがあるので、持ってきたいなあ。