宮島、清盛の都

    

 広島の二十日市市で開催中の、吉田堅治「命を繋ぐ」展を観に行った。

新幹線の新神戸から、広島に、遅くとも12時くらいには着きたかった。そこから、山陽線に乗り換えて、宮島口で、待ち合わせている。

 山陽電車に乗りはずの電車よりも、前に来るはずの電車の案内があって、宮島口に行くかどうか、尋ねた人は、親切な方で、電車が着くまで、盛りだくさんの話題で、盛り上がって、あっという間に、駅の着いた。

 そのおばあさんは、大きなリュックをいつも背負っている。その中から、ティッシュと、 ウオッシュティシューを出して来て、「これ、便利だから、使ってください。」

 「私も持ってますから。」と断っても、親切すぎて、頑固に引かない人で、頂いてしまった。

 迎えに来てくれていた、Oさんに、これ使って、とお願い。

 宮島口にあるホテルで、ランチを食べながら、話に夢中になっているので、味がどんなだか覚えていない。ホテルからも、小さな船が、送迎用に出ているらしいが、午前中だけだそう。JRの、フェリーで、宮島に。

 随分前に来たことはあると思うけど、こんなだったか、すっかり忘れている。

 世界遺産と、NHKの清盛、も手伝って、大勢の人が押しかけている。

  デッキに座って、海風を受けながら、おしゃべり。私は海が好きだから、冬の寒さの時も、船上に出ている。

  

 宮島は、清盛が造った都で、京の雅と、武士の整然とした強固とシンプルさが、合体されたような美しさ、それに加えて、海の無限への果てしない夢、開かれた、自由との合体を感じさせる。

 引き潮になると、海の上に浮かぶ、朱色の鳥居まで、歩いて渡れる。モンサンミッシェルもそうだけど。

 水上に浮かぶ、都。能舞台も水上に浮かぶ。 

 海の上に、浮かぶ都は、本来は、海の底深く、竜宮の如くに、永遠の都をイメージしていたのでは?

 泉鏡花の「海神別荘」のイメージも沸いて来て、先日観た歌舞伎も思い起こされて、

「海の底にぞ、都有り」と梅に投じる十二単の衣が海に流れ消えていくイメージ。

 

 宮島は、凪なのか、ものすごく暑い場所を抜けると、風が通って、涼しいね、という場所もあって、これも不思議。

 氷食べましょう、と誘われて、私は、今年2回目の、氷だ。

 宇治金時を注文した。たっぷりあって、白玉も入って、美味しかった。

 

 かれこれ、良い時間になってしまって、二十日市ギャラーまで送ってもらったら、閉館まで1時間。