和歌山県立美術館、まほろば温泉、居酒屋「千里十里」

   

 和歌山県立美術館は、黒川紀章の建築で、素敵な建物だ。

 常設は、和歌山にゆかりのある画家の絵が入っているので、名前の知らない人達も多い。 岸田劉生の若い自画像や、佐伯祐三の作品も5,6点あった。パリの広告を描いたものばかり。

 神奈川県立美術館が多く所蔵している、松本俊介の絵もある。

 地方の美術館の、常設を見るのは、新鮮で楽しい。

 館内は、ほとんど訪れる人もなくて、ガランとしているので、話をしながら見ていても、何も言われない。

 

 どこかの美術館で見た、シーガルの彫刻。

 ピカソや、本当にわずかの海外の作家のものが大切に飾られている。

 特別展は、抽象の版画と、絵画の色と形のシンプルで、目に優しい作品ばかり。

 肩を張らずに、疲れなくて、良かった。

 色彩が優しくて、美しい。

 美術館の中庭から、和歌山城が見える。雨風で、大木が揺れている。

 ホテルで、教えてもらった、「まほろば温泉」まで、タクシーで行けばと思いついた。 受付で、タクシーを呼んでもらった。ここから、タクシーが来れば見えるので、それから出て行かれたら、と言われて、待っている間に、空のタクシーが何台も通る。

  呼んでもらったから、料金高くなるのね、と思ったり。

 そんな心配いらなくて、和歌山のタクシーは、来てから、運転手がメーターを下ろしたので、

 ワンメーターの640円で、「まふろばの天然温泉」の前まで。

 どこか美味しい所はないですか、とタクシーの運転手にも聞くと、和歌山で一番の店がここです、と教えてくれたけれど、値段は高いとか。値段の手頃な銀平は、本店なら、美味しいのだそう。

 まほろばの湯は、見覚えのある商店街で止まった。この商店街は、以前に行った、「千里十里」が近いのではないかな、というと、運転手さんが、「千里十里」は

このアーケードのもう一つ先にあります、居酒屋ですよ、と教えてくれた。

  まほろばの湯は、大小タオル付いて、1000円。化粧品も置いてあるので、ホテルに荷物預けてしまって、洗面道具も持ってなかったけれど、何もいらなかった。

 漢方サウナは、漢方の匂いが結構好きで、蒸気が熱くて気持ちよい。昔、夙川に、漢方湯があって、父も生きていた頃、家族で時々利用していた。

 その薬草湯と同じ匂いが懐かしい。

 そこから出て、熱いお湯が石の壁を流れる所に座って、しばらく休んで、また蒸気の中に。お風呂も、どろっとした泥のような色の源泉と色のついた天然温泉とあって、炭酸の泡風呂も。地下を掘って出て来た温泉だが、和歌山には、いくつも温泉がある。

 こんな所に、毎日来られたら、最高やね。肩が凝っているのが、すうっと治って行く。

 温泉を出て、アーケードを歩いて、「千里十里」を探したが、忘れてしまっていて、角の交番に。

 若いお巡りさん達は、「そら豆」は知っていたけれど、「千里十里」は知らなかった。

  空豆は、美味しいですよ、と勧める。「千里十里」は、交番のすぐ近くにあった。

 店は空いていた。家族でやっている店なので、こういう店の方が、何軒もある店とか、若い人向きの店のように、創作料理よりも、素材で食べさせ、オーソドックスな美味しさがある。

 どれもこれも、友人にも満足してもらえた。私達が入ってから、他の客がどんどん入って来て、たちまち、一杯になった。

 随分、注文した。

初めに、あてに出たのは、アワビの煮付けと、貝とぬた。

 造りの5種もり、ホタルイカ酢の物、だし巻き、イカとタコの天ぷら、野菜サラダ、

レンコンの天ぷら、あなごのお寿司、生ビールと熱燗と、ライムの酎ハイ。

 友人は、すっかり酔っていたらしい。いつもは、ビール一杯だそうな。

すっかり酔って、和歌山城の、夜桜見物

ホテルに帰ったら、10時を過ぎていた。

窓から、和歌山城が、ライトアップに浮かび上がって見える。