金曜日は、美術館にただ乗り

  

霧がかかっているせいか、あまり寒くない。

夕食を作っておいて、金曜日の、MOMAに行く。帰りは遅くなるから、先に

食事をしておいてもらうように、暖めるだけで食べられる、粕汁にしようと思

って、買い物に出た。

バスを待って、地下鉄で、韓国スーパーまで行こうと思っていたのだけど、バ

スが来ない。

時間がかかるので、近くにある魚屋を覗いた。美味しそうなお寿司を売ってい

る。握っている人は、日本人のような顔をしている。

アメリカ人は、巻もののお寿司が好きだ。カリフォルニア巻は、蟹とアボガド

をン細巻きに巻いたもので、アメリカ人の為に考案されたもの。

私は、アメリカに来ると、カリフォルニアロールを食べたくなる。

買いたいけれど、お腹が空いていないので、魚だけ買った。

どれも生で食べられるように、綺麗に身だけを、氷のケースの中に入れて売っ

ている。

魚を買って、スーパーで、大根とこんにゃくを探したら、なかった。

魚をアパートに持ち帰り、野菜を買うのに、中華街まで行くつもりだったが、

以前おアパートの前に、韓国人がやっている、スーパーあるのでは、思い出

し、そこに行くと、大根はあった。もやしや豆腐も売っている。日本食材もあ

るのだが。こんにゃくはなかった。

野菜を適当に買い、卵やヨーグルトなども。卵は、安いものは一ドルくらいか

らあるけれど、自然栽培のものは、五ドルくらいする。

ダナンのヨーグルトも、4つで四ドル。日本よりもすっと高い。二〇ドル札

は、つるつる消えて行く。円高だから、換算してたいしたことないお、と思え

るけど、一四〇円の頃だってあった。

アパートに帰り、持って来た粕汁のスープを見ると、材料が全く足りない。

豚肉、小芋、こんにゃく、しいたけ、油揚げ。魚なんて書いていない。

父は粕汁が好きで、母が作っていた粕汁は、鮭や白身の魚が入っていたように

記憶しているのに。

これではだめだから、ブイヤベースのようなものに変更。

沢山の野菜を入れて、最後に、イカと白身の魚を入れる。

タマネギのスープと、白ワインで。

夕方になってきた。急ごう。 モーマに行くのには、F線が便利なので、それ

に乗る。

E線とF線が走っている。意地悪なもので、持っている線が来なくて、乗らな

い線が続いたり。

眠気が出る時間。地下哲の中で、居眠りが始まった。気がつくと、42ストリ

ート、次は34だと言っている。え、どこの34?

乗りすぎていた。34であわてて降りて、反対側に。その頃から、トイレに行

きたくて、Fを乗って来たのに、Qだったと思い込んで、Q線で引きかえし

た。歩く距離が多くなった。トイレをめちゃがまんしながら、モーマに辿りつ

く。いつものように、並んでいる人はいない。カウンターでチケットをもらっ

て、すぐにトイレ。

MOMAの館内は、結構沢山人が居た。無料の時しか行かないから、通常で

は、ほとんどがら空きなんだろうが。

愛の暴力、という特別展は、めがねをかけた女性達の、告白文を添えたパネル

が並んでいた。ほとんどの女性が、離婚経験者。親の暴力から、自分の結婚後

の暴力体験を赤裸々に告白している。

MOMAにある、モネの絵の前で、しばらく寝ていた。

モネの絵が皆に好まれるのは、癒し系の絵画だからじゃないかなと思う。

私も最近、モネやボナールなどの、気楽な絵の方が、疲れている時は楽でな良

い。

MOMAには、好きな絵が沢山あって、今日は、空いているほうなので、有り

難い。

ホイットニー美術館には、遅くなって、30分ほど見ただけ。

ホッパーの絵画を見れば、それで満足なんだけど、ホッパーの絵は2枚しか出

ていなかった。

大戦中に、描かれたシュールレアリズムの絵画展を、随分長くやっている。

前に見たもの。フランスの絵の勉強に出たアメリカ人画家のんものを集めてい

る。

アパートに帰ったのは、9時半。今日は、ミミちゃんは、お父さんの所に行く

日。日曜日の夜に帰って来る。

食事をせずに、待っていてくれたので、3人で食卓を囲んで、お酒を飲みなが

ら、おしゃべり。私はしゃべること、しゃべること。

一人暮らしの反動だ。

美味しい、美味しいと言われると、私の自慢が始まって。うんちくをたれてし

まうのでありました。