私のお正月

 

  元旦の朝、半額のおせちとお雑煮で、お正月を迎えた。

 毎年おせちを作り、杵でお餅をついていた頃は、遠い昔になった。

 父を中心に家族全員で、お正月を海外で過ごすようになってから、

 お節を家で作る習慣がなくなって、父の死後も、私と母は、どこかの

 宿で、お正月を迎えていたようになって、私はお節料理を作らなくなった。

 出来あわせのお節は、美味しくない。31日も、夜の8時まで店を開けていた

生協で、1980円のお節が、3つ残っていた。

 どれも、これも、半額の売り尽くしで、お肉と、合鴨、あんこ、天ぷらなどを買い込んだ。

 別に必要なわけではないものばかりなのに、半額だから。

 お節料理には、沢山お砂糖が使っていて、甘さが歯茎にしみこむ。

 お雑煮のお餅を2つ食べたら、お昼は食べられない。

 母に会いに行き、コナミで水中歩いて、お風呂をすませて帰って来るまで、お腹が空かなかった。

 元旦の夜は、合鴨のお鍋。残りのおせちも食べ終えた。お酒ではなく、ワインを共にして。

庭で炭をおこして、炭火焼き

 二日、友人宅に呼んでもらっていて、年賀状の中に、友人が大病と闘っていたことを知り、メールを出して

 から、と文章を入れていると、時間を忘れて、約束の時間に、着けそうにない。

 あわてて、出たら、肝心のものを忘れている。マウスピース、これが今かかせない。それからドライアイの目薬と、

 気管支炎の薬。 

 全く、こんなものが必需品になってしまって。

 梅田の化粧品店にも寄らなければならない。福袋を注文していて、それを買って、郵送してもらうことになっている。

 手土産の、焼酎はすでに買っていたけれど、あと足りないものも買う時間が必要だ。

 最寄りの駅の構内で、売っている、わらび餅を初めて買った。ここのわらび餅は美味しいので、有名だ、という声が

 聞こえてきたから。

 梅田で、パンの好きだった息子さんへのお供えに、バームクーヘンとクルミとイチジクのパンを買った。

 力もなくなっている。 家まで行くのだから、と、以前からあげるね、と言っていた、梅酒も小瓶に入れて持って来た。

 難波から、近鉄に乗って、駅まで、友人が迎えに来てくれるから。

 泊まれないのよ、と言うと、そんなもの、一晩なくても大丈夫だわ、と言うけれど、大丈夫じゃないのよ。

 お正月だから、朝食を食べて、お昼は食べないで待っていてくれたのだろう。

 早速、お酒とおつまみが出て、お正月用のおはしに、私の名前まで書き入れたのを用意してもらっていた。

 飲み友から、宝山、という焼酎は美味しくないよ、と言われていたので、恐縮しながら差し出すと、

 

 いつも宝山を買っているのだと。宝山の中でも、これは一番上等だろうと。富士の宝山、という焼酎。

もらったとかの、ボジョレヌボー。私一人でほとんど。

 お料理上手な友人の、美味しいものばかり食べているので、彼は、家で、晩酌、凝った手料理が、

 いつものこと。幸せだよ、と私が。

 出してくれるものは、本当にどれも美味しくて、話は楽しくて、雰囲気はとても良くて、いつも、いつもなんだけど、

 私は素晴らしい友人の変わらない友情に、心を熱くして、帰って来る。

 電話しても、タクシーにかからなくて、結局、2人が歩いて、駅まで送ってくれた。

 3人で、わいわい話ししていたら、あっという間に駅に来た。

 家に帰ったら、シンデレラではないけれど、12時を過ぎた所だった。

 私は、随分酔っていた。酔っていたから、お酒を燗して、お餅を焼いて、その辺からまた食べるもの出して。

 しばらくは、テレビを見ながらソファーで寝てしまった。

 マウスピースをして、ベッドに入って、何も考える時間なく、寝てしまった。

 リーンという電話音。

 息子からの電話だった。

「お母さん、なんかテレビの音聞こえるよ。ずっとつけて寝ているの?」

「そんなことないよ。朝、つけたのよ。そのまま、またうとうとしてたみたい。」

 電話の途中で、ピンポンとなった。

昨日頼んでおいた宅急便が、早速ついたようだ。

パジャマのまま、裸足で飛び出して、荷物を受け取り、がんがんするな、頭、と

二日酔いで、居間に入ると、むっと暖かい。

ガスストーブをつけたままだった。

テーブルの上に、食べ物の残骸と、とっくりとおちょこ。

友人宅で、ビールとワイン、とっておきのコニャックをバカラグラスで。グレンフェディックを

更に、バカラグラスで。後は何を飲んだのか?

 私のお正月は、これでシメだよ。

 分厚いトーストを焼いて、コーヒーでの朝食。