ブルックリンのステーキハウス「ピータールーガース」

 

 ブルックリンに入ると、どこか雰囲気が違う。

カメラを向けると、どこを撮っても絵になる。

ホッパーの絵のモデルになるような。

ブルックリンは、映画の舞台にも、いくつも

登場する。

ブルックリンに作家を目指して,下宿して来た,若者が、同じアパートの住人

と奇妙で親密な関係になり、彼らの,心の深い闇と関わる,「ソフィーの選

択」は、ブルクリンの個性を浮き彫りにした作品で、甘く悲しい郷愁を、ブル

ックリンは、思い起こさせる。

ブルックリンにある、ステーキレストラン「ピータールーガース」は、

毎年、トップステーキハウスと、ザガットの高得点を得ている店。

混んでいない日も時間もない。

息子は,私が来る度に、一応、予約を入れている。予約を取っておかないと、

いつ食卓につけるのか、保障がない。

バーで,順番を待って,アルコールを飲んでいる人達で混雑している。

うっかり、クレジットカードで大丈夫だと思い込んで,レストランに入った

ら、「ピータールーガース、クレジット」しか受け付けない、と看板が。

今日は、私の財布に121ドルしかない。息子は60ドルあると言い、ガール

フレンドは、20ドルあるという。

かき集めたら、201ドル。行けるだろうということで、銀行から出さなかっ

た。

ステーキは、いつもの、二人用のステーキ88ドルを3人で。ワインは最も安

い38ドルの赤ワイン、サラダと、べーコンの3切れ。考えながら,注文した

つもりだった。

ベーコンは堅くて辛かった。シザーサラダのチーズが美味しくて、サラダはあ

っという間になくなった。

ステーキが運ばれて来た。この前よりも,大きいような気がする。Tボーン之

ステーキ、小切りにしてあって、格皿に、3切れづつサーブして,残りは自分

達で。

さすがに美味しい。そのまま食べ手も肉の旨さがじわーっと。特製のトマトベ

ースのソースをかけても,味が柔らかくなって美味しい。

ステーキに、タマネギの輪切りをつけて食べるのが、この店のステーキの食べ

方の特徴で、今日は、まだ注文していない。

隣の席でも、タマネギとトマトの輪切りと食べている。

息子が,タマネギの輪切りを注文した。

食べ終わって、ステーキの残りをテイクアウトするように頼み、勘定書きが来

ると、183ドル。

これでは、足りない。チップに40ドルは置かないといけない。

ガールフレンドが、そばの銀行から、20ドル下ろしてくれて、220ドルに

して払った。

アメリカは、クレジット社会なので、つい忘れてしまっていた。キャッシュだ

けの店なんて、聞いたことがないのだけど、ここは特別。

以前に来た時には、現金を近くの銀行で下ろした。

2回ほど,予約をキャンセルして、この店に来るのは2年ぶり。すっかり忘れ

ていた。

車で,ステーキハウスに来るまでに、、奇妙な格好をした、ユダヤ人の町を通

った。大きな円形の帽子を頭に乗せて、こめかみを長く伸ばして,髭を長く垂

らした男達、子供は、髭がないが、横の髪を長く伸ばしている。

黒の装束に、茶色のワラで出来たような大きな円盤形の帽子を、皆がかぶって

いる。タイムスリップしたような,異様な光景。そんな人が,次から次に。