ニューヨークに暮らす人

  

 息子がニューヨークに一緒にやってきた彼女と、すぐに別れて、一人暮らしをしてい、そのわずかな時期を、ニューヨークに来て、マンハッタンで暮らしていた 頃が、ニューヨーカーっぽい体験が出来て、最も、ニューヨークを楽しめた。その頃がいつもなくかしく、メトロポリタン美術館に行くと、その界隈に足が向く。

 イーストアッパーストリートと呼ばれている界隈は、カジュワルで美的センスの漂う所、近くに、メトロポリタンを中心にして、幾つものニューヨークを代表する美術館が、点在している。

 マディソン街で、ウィンドーショッピングをしながら、メトロポリタンに行き、帰りには、再び、アインドーショッピングでぶらつきながら、よく買い物をした、アガサという高級スーパーを覗き、ハムや総菜を買い、地下鉄の

77番地の近くにある、サンドイッチの店で、べーグルを買い、そしていつも買っていた、ワインの店に。

 昨日は、メトロポリタンの帰りに、シタデルという、やはり高級スーパーで野菜などを中心に少し買い物をした。

 感謝際を翌日に迎えて、店内は人でごった返している。

特に何がなくても、このスーパーは、仕事帰りの人が多い。できあがりのデリカテッセンを買って、アパートでワインを飲みながら、くつろぐといううのが、定番になっている人々がほとんど。

 私も、明日からは一人になる。アパートになかったバターや、大好きな、マフィンに、新鮮な野菜に加えて、クラブケーキを2個買った。

 アガサにしても、シタデルにしても、高級感のある、スーパーは、買い物袋にもなりうるような、立派なビニールの買い物袋に入れてくれる。

 食品の値段は安くないけれど、アパートに持ち帰って、向かいで買った野菜と比べると味も香りも格段と違っている。

 会社のそばにある、ジムに通い始めた息子が、夜8時半頃に帰るというので、私もその頃にアパートに帰った。

 同居している、ガールフレンドは、女の子の母親なので、生活は、子供中心で、

シングルマザーの5歳になる女の子のベビーシッターも引き受けている。子供達は、一緒に宿題をし、遊び、喧嘩をしたり、賑やで騒々しい時間が、7時半くらいまで続く。息子はきっと、この時間を避けたいので、会社の側にあるジムに通い始めたのだろう。

 息子が、これほど子供好きだったのか、と感心させられるが、彼は本当によく、子供達に付き合っている。息子が子供なのだろうか。

 昨日は、一日中でなかったので、私も、子供達と一緒にアパートにいた。

 日本で暮らしていた、5歳の女あの子は、お母さんが、仕事を決めて、落ち着いたので、日本からやってきた。英語がわからないので、学校に入学したけれど、まだついていけない。

ガールフレンドは、一人娘にも、姉妹教育になるから、と預かることに決めた。

 彼女も、預けながら、子供を育ててきた。ベビーシッターは、時間給が20ドルという。学校に行くようになると、下校時までは学校が預かってくれる。アメリカでは、5才で入学できるが、13才までは、家に一人でおけない法律になっている。大人が、一緒にいて、子供を保護していなければならない。

だから、ベビーシッターという仕事が、一般的になっているし、時間給も高いのだろう。

働きながら、子供を育てているシングルマザー達は、子供を預ける為に働いているようなもの。父親が、養育費を出し、子供に愛情を持って、両親の所を行きしながら大きくなっていく子供達は、幸せだけど、父親が子供を認めず、別れて、一人で産む女性達も多い。5歳の女の子は、白人のアメリカ人との間にでで来た子なので、色が白くて、お人形さんのように、可愛い。こんなに可愛い子供を見ても、父親の心が動かない、そういうアメリカンが多いのだ、とか。

黒人の父親を持った、子供の方が、愛情深く育つ場合が多いかも。息子達と同様に、休暇でブラジルに遊びに行く父親が、その前に、娘に会いたいと、迎えにやってきた。レストランで夕食を一緒にする。 毎週、父親と週末すごし、教育熱心な父親バイオリンの教師も探して、娘に習わせている。休みは、祖父母の家で、甘やかされて育っている。

二人を見ていると、同じ子供なのに、子供達の環境は、経済的にも、精神的にも、肉体的にも、随分違っている。

 それぞれに、しょっている荷物は違っていて、その中から生み出す、人生も全く違ったものになっていくのだろう。良し悪しではない。良いは、悪い、悪いは良いのだから。