一人じゃない、仲間と共に暮らす老後のあり方

 

 時差ぼけで、明け方まで起きている。

宅急便が、来て、そのまま起きていれば良かった。

再びベッドに潜り込むと、目覚めたのは、午後の2時を過ぎている。

丁度、パリの朝と同じ。

 母の施設に出かけたのは、3時半、おやつが終わった頃だ。入居者に風邪を引いた人が出て、順番に、うつって行ったとか。

 帰った、翌朝に、母を医者に連れて行った時には、気管支炎のような咳をしていたが、今日は、脇腹が痛いと言う。話をしている時ではなく、咳をすると痛むので、咳が原因で筋肉が痛いのではないかと思う。咳き込んで、脇腹の骨にヒビが入るということも考えられる。

休み明けに、看てもらおうと思っている。医者で、骨粗鬆と、体重を量ってもらったら、骨密度は少しだけど、高くなってきた。体重の方は、44キロ、先月、49キロもあると言われたのは、やはりはかり間違いのようだ。

母の体重は、一定している。

 疥癬で隔離されていた、老人も、今日はリビングに出て座っていた。高年齢なので、完全に直らなくても、疥癬は出ていない。

 連休だけど、今の所、面会者は、少ないようだ。

全員で作ったという、鯉のぼりが2つ、テレビの上の壁で泳いでいる。

「これはすごいですね。こんなに上手に作れるなんて。」

大きな鯉の絵をくりぬいたものに、折り紙で作った鱗が丁寧に貼り付けてあるぼで、立体的な鯉のように出来ている。

3月のおひな様がなくなって、寂しかった壁が、また華やかになって。

 母はいつも、「もう帰ろうと思うの。家を片付けないと、気になって。」と言いながら、結構気楽にいるようだ。

母の部屋に、弟夫婦や妹からの誕生祝いにもらった花が、賑やかさを増している。

弟夫婦からは、名前が入っているので、「これ昨日、持ってきてくれたの。」と日は覚えていないが、誰からもらったのか、見る都度、把握している。

 母は、施設で、初めての誕生会をしてもらった。毎月、誕生の人達の名前が、壁に書かれている。ささやかな食事でも、月に一度、誕生会の食事が出る。それも、入居者達の楽しみの一つだろう。

共同で生活することは、お年寄りに取って、それほど悪いことではない、と最近思えるようになった。

健康管理が行き届くので、身体は元気になる。いつも周りに人がいて、寂しさや孤独感から解放される。

先日、テレビで、まだ介護の必要としない、老人のために「ケアハウス」というのがあって、入居している人達の中で、そのまま、そこでお葬式も共同の墓地への埋葬も依頼する人達が多くなった、という。

 独身生活を送ってきた人達が、多く入居している為だ、とか。生前に共に暮らした人達が、仲間を送り、その後も大切にまつってもらえる。

 孤独死の心配はない。死後の心配もない。お部屋は、冷蔵庫から生活品を入れるだけの広さがあり、生活のプライバシーは十分守られている。これから、そういうケアーハウスが、増えて行くだろう。