吉田さんのお墓に

  

 パリは快晴、雲もほとんどない。ロンドンとりも、ずっと暖か。

ブログを書いてから、吉田さんのお墓のある、モンパルナス墓地に。

 昨日、週間チケットを買ったので、日曜日まで地下鉄もバスもフリー。歩くのをやめて、バスト地下鉄を使った。歩いた方が良いのだけど、買ってしまうと、使わないともったいない。

 

 お花屋さんが、なくて、結局、歩いて来た、道にある店まで歩いた。そこがもっとも沢山種類があって、親切な気がする。

デュラスのお墓

 今日は、デュラスのお墓にも、お花を供えよう。デュラスのお墓には、小さな石がいくつも供えてある。

スピルバーグの映画でも、シンドラーの墓に、石を供えるユダヤ人達が、映画の最後に出ていた。

 お花を二つ作ってもらう頃、トイレに行きたくて、我慢していたが、お墓の入り口にある、カフェに飛び込んだ。コーヒーを頼んで、トイレに直行。

 パリは、いたるところにカフェがあるので、助かる。

 蒼空が、広がって、薄い雲が引いている。桜の花は落ちて、緑が多くなってきていた。

吉田さんの奥様の戒名は華雲。

 吉田さんが、言っておられた。

 蒼空に雲、あそこに奥様がおられると。今は、蒼空に雲、蒼空で雲を抱いて、一緒におられる。気持ちがよいことでしょう。

 

帰り道に、画材屋さんがある。吉田さんも、よく通われた店。ふらっと入った。

 パステルが買いたくなった。友人が、描いていたパステル画が素敵だったから。

ソフトパステルは、値段が高いので、普通のものを買った。

24色のパステル。子供の頃の記憶が、甘くよみがえる。新しいパステルを買ってもらった喜びと、あの臭いが。

 従姉妹のアトリエに寄るのに、久しぶりに、ケ、ド、ラ、ガール、という地下鉄駅で降りた。川沿いに、右手にミッテラン図書館がある。

昔は、何もなかった。図書館も、橋も、川縁の店も、散歩道も、なにもなかった。地下鉄駅と言えば、この駅だけが最寄りの駅だった。

道を自動で洗っています。

気持ちの良い風にあおられて、歩く。こんなに近いとは。もっと長かったような気がする。

 歩きながら思う。このパリで、新婚から10年間、奥様と暮らした時間は、吉田さん達の人生の中で、最も幸せな時間ではなかっただろうか。