サンマルクカフェ

 

母を、近くのレストランに連れ出した。施設のとなりに、神戸屋があるので、家族が面会に来ると、よく連れて行かれるとのこと。インフルエンザで、外出させませんと、社長から言われていたので、連れ出してはいけないのかと思っていた。

 先週は、函館市場に、お寿司を食べに行ったので、今回はサンマルク、カフェに決めた。お風呂が終わってからというので、12時に迎えに行くと、他の人達は昼食を食べ始めていた。見ると、結構沢山の量がある。先日の往診のあと、職員に、母の体重を聞いたら、ちょうどその日に測ったからと言ってみてくれた。45キロだという。間違えではないか、と思った。母の顔が最近膨れて見えるので、浮腫みが出ているのではないか、と心配していた。検査の結果、まだ正常値なので、プレドニゾロンは、さらに1ミリ減らして、3ミリになった。

(「みなさん、良く食べるので、体重が増えています。」と言われた。

食べて、運動しないから、尚更太るのかもしれない。その上、お菓子を差し入れするので、3時と、夜にも、甘いものが提供されている。

先週、函館市場でも、私はもう入らないと言っているのに、母は、まだ食べられると、運ばれているお寿司を取っていた。二人で、15皿、その中には、ランチ皿で3つ入っているのも。

サンマルクに行くと、レディースランチといいうコースがあって、値段は1390円。焼きたてのパンが、次から次に運ばれてくる。最初に運ばれて来た、よもぎのパンが気にいったようで、最後の最後まで、パンが来る度に、よもぎがあると、つい手が出てしまう。

途中から、私はギブアップしているのに、母のお腹が一体どうなっているのか、不思議だ。

「おいしいからいくらでも食べられるのよ。不思議なお腹」

本当に大丈夫なのだろうか。食事はフルコース、スープ、サラダ、前菜、主菜、デザートにコーヒーまで。すべて、残さずに、美味しそうにたいらげて、その上、小さいとはいえ、パンを10個以上食べている。

隣に座っている、上品な親子は、私達の後でやってきて、先にレジに。娘さんの方は、パンを結構食べていた。

(おいしいですものね。)パンから、話あうようになった。お母さんは、母と同様銀髪で、ほっそりした人で、服装がすごくお洒落。ロングスカートにブーツ。主食にご飯。

支払いをしている間に、母はパンの袋を、買って帰ろうか、と言う。袋入りで、630円、母のお腹に入っているパンと同じくらいの量。

レストランを出ると、母が、

[最近運動しないから、足がだめになったわ。歩かないから。]というので、帰りにある店に寄った。

母の所に、フェルメールのカレンダーを持っていったのだけど、フックが太くて、カレンダーに穴があいて落ちてしまっていた。フックとセロテープを買って、修理しておこうと思った。外は寒いので、屋内散歩にもなる。

母は、事務用品の所で、100枚入りの封筒をしきりに見ていた。安いわね。これ便利だから買っておきましょう。

[お母さん、それなら、お父さんの棚に入ってるわよ。買い込んでいたのが。]

ファイル製理など、母の興味は、事務製品に。その次に、お菓子。おやつに、時々出るという、釣鐘饅頭を見つけた。

「これ美味しいのよ。」

それから、山崎の菓子パンに目が移り、買って帰りましょう。

ええ、と思ってしまう。お腹が一杯なのに、まだ食欲?

2つばかりお菓子を買って、出てくると、母は言う。

「身体がいよいよだめだわ。どこかしんどくて。出てくると疲れるわ。」

薬が少なくなっているので、炎症が出たのかと、心配になり、

「どこか痛むの?痛むところある?」

「いいえ、痛くないわ。」

じゃ、よかった。

「おちこちなんとなく痛いしね。しんどいわ。年だから。」

母の言葉は、どこか要領を得ないのだけど、どうも、食べすぎて、お腹がしんどいというのが、本当のよう。

食べたパンが、胃で膨れ出したのだろうか。それにしても、大食い競争でいくらでも食べられる人がいるので、真意のほどはわからない。