健脚も魚の目でころり

 

 今回は地下鉄のカルネを買った。一週間のチケットは月曜からなので、11枚綴りのチケットで、すまそうと思った。チケットを大切にしていると、歩いて行ける場所にしか行く気がしない。貧乏性が出て困る。

 お葬式から、食事の場所に移動するタクシーを待ちながら、甥御さんの奥さんが言った。「吉田さんは、タクシーは使わなかった。」

 奥さんは足が悪く歩くのも困難な様子で、伺えば、8年前に脳梗塞で倒れ、リハビリでやっとここまで歩けるようになったと言う。

私も人ごとではないと思う。その奥さんは、血圧が高かったらしい。私のようにお酒で、ではないだろう。最近、毎日飲んでいる。母を家で世話している日には、ストレス解消だと、自分に称して、毎晩飲んでいた。

 二日休んで、という規則的な約束は出来なくなった。その後、睡眠時間のないままに、飛行機に乗り込んで、いえ、乗り込む前の成田から、ワインと酒を飲んでいた。飛行機に乗ると、眠り薬だと、ワインの小さなボトルを2本空けた。

 パリ到着前に食事に、ワインは飲めないと断って、水を注文していたのに、パスタと肉のトマトソースが美味しくて、またワインの頼んでしまった。

アパートにつくと早速、ワインとビールを買った。ぐっすりと眠るために。依頼、毎日飲み続けている。吉田さんに比べれば、へのかっぱほどの料だ、と納得。

 パリに来て、ワインを飲まない日があるなんて考えられない。今回は日がないので、それを分散しながら飲んでいるので、1本のワインと、6本のベルギー産の白ビールで終わるだろう。汚れるのがいやで、食事を作らない。できあがりのサラダに生ハム、チーズを買った。バターは残りのでやめた。サラダのドレッシングも作らない。モノプリドレッシングを買った。

 朝、カフェで、朝食、食事を外食に頼るのは、男の仕事だけれど、女は、中食ももったいないと思うから、半食という所かな。サラダとパン、チーズ、半分づつ分けて、みみっちく食べる。 

 歩くと、カロリー消費にもなるし、お金もかからない。どこを歩いていても、パリはパリ。カメラを向けると絵になっている。

 健脚だと言われていたのに、今回は歩けない。小指が痛くて、老化で軟骨が出ているのではないかと勝手に思っていた。外反母趾の反対側かも、とか。そのうちに治ると鷹をくくっていたら、このパリで痛みに耐えかねて、ベルシー公園まで行って、ギブアップして帰って来た。癌だったら、と懸念さえ走る。

 じっくり見たことがなかった場所をチェックしてみると、骨ではなく肉の部分が盛り上がっていて、それが痛い。魚の目とは、こういうものを言うのかもしれない。魚の目ころりは、パリでは買えないだろう。魚の目がある日突然取れる野で、そう呼ぶに違いない。 こんな経験したことが無いけど、多分これは魚の目にちがいない。堅いし、摘むとその部分が痛むから。

 歩き過ぎて、魚の目が、居心地良く居着いてしまったにちがいない。